ヤクルト村上宗隆内野手(21)が歴史に名を刻んだ。広島18回戦(神宮)の初回に右翼席へ今季35号ソロを放ち、通算100本塁打を達成した。21歳7カ月での到達は、89年西武清原和博の21歳9カ月を抜き、プロ野球史上最年少記録を更新。希代の若き4番が、逆転優勝へチームを加速させるメモリアルアーチを本拠地で描いた。

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雲1つない夕焼けの神宮の空へ、村上らしいきれいな放物線を描いた。青木の先制2ラン直後の1回1死。広島高橋昂の134キロの変化球を捉えた。打った瞬間に確信。21歳の4番は、ゆっくりと歩き出した。史上最年少の通算100本塁打達成。「両親が見にきていた。僕が打たないと帰らないかなと思ったので、打ててよかった」。節目を見たいと両親が前カードから上京。チケットを手配した孝行息子は、記念パネルを掲げて両親や本拠地のファンへ頭を下げた。東京五輪で一緒に金メダルを勝ち取った広島鈴木誠も拍手を送った。

14日阪神戦(神宮)で節目に王手をかけて4試合目で決めた。2ボールから試合の最初の一振りで仕留める集中力はさすがだった。「周りがあおるので」と記録へのプレッシャーはあったが、「いつか出るだろうと思っていました」。思い出のアーチは1099日前のプロ初アーチ。「神宮で、ヤクルトファンの前で打てたことはうれしい。始まりも、この球場だったので」と少し感慨に浸った若き4番が、ただひたすら目指すのは「勝てるように、優勝できるように」。大目標へ向けて、まだまだアーチを積み重ねる。【木下大輔】

▼村上が19日の広島18回戦(神宮)の1回、高橋昂から今季35号を放ってプロ野球303人目の通算100本塁打を達成した。初本塁打は18年9月16日の広島22回戦(神宮)で岡田から。21歳7カ月で達成は89年清原(西武)の21歳9カ月を抜く最年少記録。50号は清原20歳0カ月、村上20歳7カ月と、清原の記録に及ばなかったものの、100号で逆転した。また、出場379試合で到達は日本人選手では4位のスピード記録で、スピード10傑入りしている左打者は村上だけ。97年松井(巨人)02年松中(ダイエー)の468試合を抜く、日本人左打者の最速100号も記録した。

▼今季の村上は35本塁打、92打点。シーズン40本塁打の最年少記録は63年王(巨人)85年秋山(西武)の23歳、100打点は18年岡本(巨人)の22歳。通算100本塁打の次は、シーズン40本塁打と100打点の最年少記録を狙う。

▽ヤクルト高津監督 入ってきた時からずっと見ていますけど、決して不思議じゃなく、まだまだ本当に通過点。こちらも辛抱して絶対に4番に育てなきゃいけないという思いで、ここまでやってきた。それは、今までもこれからも変わらないところ。彼も本当の4番に成長していかなきゃいけないし、(首脳陣も)本当の4番に成長させなきゃいけない。