眠れる巨人打線が1イニング7得点の猛攻で“誇り”を取り戻した。1点を先制された直後の2回。先頭亀井善行外野手(39)が中前打で口火を切ると、丸佳浩外野手(32)が右前打で続いた。一塁走者の39歳亀井も激走でチャンスを拡大。1死二、三塁から、大城卓三捕手(28)が前進守備の二塁手の横を抜ける中前への2点適時打で逆転に成功した。

“お掃除打線”はさらに加速した。1死一、三塁で吉川尚輝内野手(26)がバックスクリーンへ5号3ラン。「チャンスだったので、思い切って行けました」と敵失で塁上にたまった走者を一気に片付けた。1死二塁からは坂本勇人内野手(32)が2戦連発の17号2ラン。「(吉川)尚輝が良い打撃をしてくれた。良い流れで打席に入れた」。6月12日ロッテ戦以来今季2度目の1イニング7得点。終わってみれば今季4度目の先発野手全員安打となった。

試合前の円陣で“大掃除”の号令がかかっていた。声出しを務めた八百板卓丸外野手(24)が9月19日の語呂から「今日は『クイックルの日』です!」と雑学を披露すると「走者をためて、お掃除していきましょう!巨人の“ホコリ”をかけて戦いましょう!」。1軍昇格4日目で声出しの大役を任された八百板の渾身(こんしん)の呼び掛けに呼応するかのように、13安打8得点で走者を“お掃除”した。

試合前時点で9月は3勝8敗4分けだった重たいムードも、伝統の一戦での大勝でさっぱりと一掃した。首位阪神とは2・5ゲーム差に接近。原辰徳監督(63)は「いい形でまた来週から戦いに挑んでいくということですね」とすがすがしい表情で引き揚げた。“誇り”を取り戻した巨人が、ここから虎と燕との混戦もきれいに片付ける。【小早川宗一郎】