巨人原辰徳監督(63)が来季も続投する方向で調整していることが9日、分かった。今季が3年契約の3年目で、昨年までセ・リーグ2連覇を達成。今季は残り10試合となり優勝は絶望的な状況だが、現在3位でクライマックスシリーズ(CS)進出は決定的。日本一への道は続いているだけに、正式要請となれば受諾に障害はない模様。昨年まで通算14年で9度のリーグ制覇と日本一3度の手腕で常勝軍団を完成させ、選手と首脳陣の世代交代をさらに進めていく。

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原監督が来季も指揮を執る可能性が高まった。今季は契約最終年の3年目。毎年優勝争いへと導く名将も、戦いの場に身を置いて通算15シーズン目となる。昨季まで9度のリーグ制覇と3度の日本一。長い時間と多くの情熱を巨人の監督業に費やし、常に優勝を争うチームを作り上げてきた。

編成権を託された「全権監督」として迎えた今回の第3次政権は19年の初年度に5年ぶりのペナント奪還を果たし、リーグ2連覇を達成した。采配と同時にトレードや補強も併せて、コロナ禍のシーズンのかじ取り役も務めてきた。今季は新外国人の退団や主力の相次ぐ離脱に見舞われた。想定外の難局にも、経験とチームスローガン「1 TEAM」で挑み続けた。

エース菅野が4度も離脱する中、高橋と戸郷の若手が先発投手として、ここまで2人で合計20勝と成長。ビエイラのクローザー抜てきで新たな可能性を見いだした。発展の余地を残すチームをビルドアップするには原監督の手腕と経験、情熱は来季も不可欠だという考えは自然だろう。

近未来への継承役も託されている。「ポスト原政権」に備えていく。現役時代にチームを支えてきた阿部、村田、杉内らを第3次政権で首脳陣に据えた。今季はシーズン中に首脳陣の入れ替えを3度も敢行。5日からは阿部2軍監督を1軍作戦コーチに配置し、ポストシーズンへと続く勝負どころで1軍経験を積む機会をつくった。球団は来季、首脳陣の世代交代も進めていくとみられる。球団の伝統と指揮官としての帝王学を継承するためにも、続投の選択肢は最適解になる。

原監督の巨人愛と球界の未来への思いは強く、正式要請となれば受諾に障害はない。この日の広島戦で今季3度目の5連敗を喫し、残りは10試合。9・5ゲーム差の首位ヤクルトは、優勝マジック11を点灯させている。リーグ3連覇は絶望的となったが、CS進出はほぼ確定。日本一への熱戦は続いていく。

◆原辰徳(はら・たつのり)1958年(昭33)7月22日、福岡県生まれ。東海大相模で甲子園4度出場。東海大を経て80年ドラフト1位で巨人入団。1年目に22本塁打で新人王。83年打点王、MVP。ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞2度。95年に引退し、99年にコーチで巨人復帰。02年監督就任し、日本一。03年退任も06年復帰し、2度のリーグ3連覇。15年退任し、19年に3度目の監督就任。09年WBCでは日本代表を率いて世界一。02、09、12年正力松太郎賞。18年野球殿堂入り。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。

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