運命の扉を、左手でこじ開ける。楽天石井一久GM兼監督(48)が、フロント入りしてから4度目のドラフト会議に臨む。

金の卵をつかむためには、運が必要だ。GM専任として初参加した18年は「左手はもう自分のために運を使い果たしたので、右手の方がいいかな。左手にはもう運は残っていないかなと思う」と右手でくじを引いたが、3球団が競合した大阪桐蔭・藤原の交渉権を逃した。外れ1位の立命大・辰己は巨人と競合。再び右手を使って引き当てた。19年はリベンジに失敗。4球団が競合した大船渡・佐々木朗を右手で外し、外れ1位で大阪ガス・小深田を単独指名した。右手は1勝2敗と負け越す。

やはり、現役時代に日米通算182勝を積み上げた左手のパワーはすごかった。昨年は4球団競合の末、目玉選手の早大・早川を左手で引き当てた。「現役時代は勝負の時は左なので。やっぱ勝負は左でしょ」と、自らの野球人生を支えた利き手を信じた。今年も「左にします」と宣言し、競合も辞さない構え。「将来を背負って立つ選手が来てくれることがイーグルスのため。僕のためじゃない。僕なんて何年かしたらやめちゃうので、本当に僕なんかどうでもいいんです。それよりも楽天にしっかりとした軸というか選手が入ることが今後10年につながる。そこは大事にしたい」。常勝軍団への道筋を、左手で描く。【桑原幹久】