ドラフト会議翌日に、DeNAの指名を受けた2人が、1歩も引かない投手戦を演じた。2位指名の早大・徳山壮磨投手(4年=大阪桐蔭)が7回2安打無失点に抑えれば、4位指名の法大・三浦銀二投手(4年=福岡大大濠)は9回4安打無失点で完投。試合も0-0と、互いに譲らなかった。

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早大・小宮山悟監督(56)の心配は杞憂(きゆう)に終わった。この日の朝、徳山の顔を見たら「安堵(あんど)の表情をしていた」。ホッとし過ぎて、投球に影響が出ないか心配したが「しっかり投げてくれた。さすが、気持ちが入っていた」。前回登板から約1週間。徳山は「ドラフトの次の日の試合は分かっていたこと」と、ドラフトとは関係なしに照準を合わせていた。初回、先頭にいきなり二塁打を打たれたが、連続三振に遊飛で後続を断ち、7回まで0を並べた。

法大・三浦も負けてない。3日前の今季初戦(立大戦)は4回5失点と苦しんだ。コロナによる活動停止もあり、準備不足は否めなかった。「情けなかった。今日は気持ちを入れました」。横振りになっていた意識を、本来の縦振りに修正。徳山同様、140キロ台中盤の直球に変化球を織り交ぜ、9回まで投げ抜いた。「(同じDeNAの指名を)むちゃくちゃ意識しました。向こうは2位。負けたくない。自分の方が長くマウンドにいたので、良かったです」と笑顔を見せた。

2人は高校日本代表のチームメートで、同部屋だった仲。徳山が6回、バットを折られながらもチーム初安打の中前打を放てば、三浦も6回に四球を選んだ。打者としても真っ向勝負した。

徳山 いろんなコンビネーションがあって、すごくいい投手だと感じました。

三浦 球が速くて当たらない。打ちたかった。悔しいです。

実力を認め合うライバルが、再びチームメートとなる。【古川真弥】

▽DeNA三浦監督「2人ともいいピッチングをしていて楽しみになった。右の力のある先発で、大学でも実績がある。2人とも即戦力だと思っている。先輩もいますから、すぐにチームになじめると思う」

▽DeNA八馬スカウト(担当する2人の投げ合いをネット裏で観戦)「僕も2回ぐらいまでドキドキしながら見てました。2人とも力みが抜けて、投げていた。それだけ、ドラフトがプレッシャーになっていたのでしょう」

▽法大・加藤重雄監督(三浦の投球に)「ベストピッチ。気合が入っていた。なんとか1点をもぎ取って、勝たせてやりたかった」

▽法大・岡田悠(巨人5位指名。徳山に3打席凡退)「この投手を打たないとプロでは通用しない。次は絶対打てるよう練習したい」