ソフトバンク千賀滉大投手(28)が7回まで無安打無得点の完璧な投球でロッテ打線を封じた。

8回に先頭打者を内野安打で出塁させ、自身2度目のノーヒットノーラン達成を逃したが、9勝目を挙げた。この日は西武松坂の引退試合。ソフトバンク時代に同じユニホームでプレーした憧れの先輩にささげる快投だった。

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鷹のエースが「怪物」への感謝をマウンドでぶつけた。ソフトバンク千賀滉大投手(28)が7回まで無安打、8回途中無失点の快投で今季9勝目を挙げた。わずかに残るCS進出の可能性をつないだ右腕は「勝てて良かったですし、本当にホッとしてます」と振り返った。

登板予定だった17日ロッテ戦が雨で流れ、スライド登板。くしくも、15年から3年間チームメートだった西武松坂の引退試合と同じ日にマウンドが巡ってきた。「憧れだった人。そういう人の引退をぼくも見たかったですけど。これからゆっくり(映像を)見たい」とかみしめるように話した。7回まではヒットを許さず「怪物」の全盛期を思わせるような快投。8回無死で内野安打を許し、次打者に四球を与えて降板したが、堂々の投球だった。

もう1人の先輩への思いも込めていた。18日に戦力外通告を受けた川原の登場曲を使用。「一番お世話になってきた先輩。ポンコツだったぼくらにいろいろ教えてくれた。川原さんにボールを渡すことだけしか考えていなかった」。長年、自主トレをともにしてきた1学年上の先輩に、この日の勝利球をプレゼントするつもりだ。

チームは連勝で、近年苦手にしていたロッテには、18年以来3年ぶりにシーズン負け越しがなくなった。敗れた3位楽天とは3ゲーム差に縮め、CS圏内にじわりと近づいた。次回は中5日で今季最終戦の25日ロッテ戦に向かう見込み。千賀が6年連続2桁勝利とチームの奇跡へ、最後まで腕を振る。【山本大地】

▽ソフトバンク三森(今季7度目の猛打賞)「技術的な部分では、タイミングと自分の力強いスイングが出来るボールを待ち、スイングを仕掛けようというシンプルな意識でいきました。打撃を見つめ直し、いい結果につながって良かったです」