パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー（86）も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。
95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第4回。2005年は、近鉄との合併で生まれたオリックス・バファローズの元年となった。宮内オーナーにとっても、新生球団への期待をふくらませるシーズンになった。
【2005年】▽1月5日 賀詞交歓会が行われ、あいさつで「注文？ 私はプレーオフに進出できると思ってます。戦力的には十分。投手は揃っているし、打撃も相当強くなっている。最下位はもうあきましたから」と合併球団をアピール。岩隈、礒部ら近鉄主力を楽天に譲り渡し、苦しい戦いが予想されたが「近鉄、オリックスを優勝に導いた仰木さんをまた迎えることができた。マジックを加えて、必ず関西のファンを沸き立たせられると思っています」と再登板のベテラン監督に期待した。
▽3月4日 神戸市内で行われた激励会で「優勝から遠ざかっているが2つのチームが統合して、下の方をウロウロしているのではまったく意味がない。新しいファンを獲得し、阪神とオリックスの2チームで関西を盛り上げたい」と決意表明した。
▽4月8日 シーズン初観戦を前に「去年のように、どうにもならない負け方はしてないから。3位は間違いないよ。とにかく1勝だね」と意気込んでいた。だが楽天投手陣に13四球をもらいながら、わずか2得点で最下位に転落した。
▽5月29日 今季7度目の観戦で「巨人との延長12回を見るのは2度目だね。合計24回も見させてもらったよ。お互い、よく抑えたねえ」と笑顔で引き揚げた。
▽7月5日 今季9度目の観戦を前に「よう負けますな。レベルの低い3位争いじゃあね。新外国人が先発？ 楽しみになるか、腹が立つになるか、どっちかな」と、4連敗中のチームにボヤキ節で球場入り。最後まで見届けることができなかったが、チームは逃げ切って連敗を止めた。
▽同21日 前半戦3位ターンを決め、早くも仰木監督に「そりゃあ、監督の手腕は大きい。来年？ 得がたい人材だし、僕はもちろんやってもらいたいと思ってます。『この歳になって』と言われればあれだけど、僕がボケてないんやから、仰木もボケとらんよ」と、71歳のベテランに事実上の続投要請。
▽9月7日 ソフトバンク戦前に、大阪ドームで仰木監督を激励した。「激励した？ やれ～、とね。突き詰めて言えばそういうこと」と明かした。
▽同29日 体調面の不安を理由に、仰木監督はオーナーとの会談後に退任を明らかに。「この事情ばかりは無理にとは言えない」とオーナーも今季の奮闘をねぎらって了承した。ただ「仰木さんのおかげで素晴らしいチームになった。これまでの功績を考えてもこれでサヨナラはすべきじゃない」と話し、チーム運営をアドバイスする新ポスト『シニア・アドバイザー』への就任を要請し、快諾を得た。
▽10月7日 監督就任が決まった中村GMに対し「中村新監督・仰木シニアアドバイザーの新体制で、この1年築いてきた新生バファローズをさらに強化、発展させていただけるものと確信しています。中村新監督には、関西の野球ファンを魅了する試合が展開できるチームをつくり、来季こそまずはプレーオフ進出を実現、そして優勝を目指していただきたい」とコメント。
▽同14日 13日に巨人渡辺会長が、村上ファンドの阪神電鉄株大量取得に絡み「背後には宮内さんがいるじゃないか」と語り阪神とオリックスの統合をにおわせたことに対し、本社広報を通じて「事実無根であり、阪神との統合等は一切、考えておりません」と全面否定した。
▽同28日 政府の規制改革・民間開放推進会議の議長として記者会見。村上ファンドが阪神電鉄株などを大量取得したことに関連し、巨人の渡辺球団会長が「背後に宮内さんがいる」と指摘したことについて「全く事実無根」と改めて否定。村上ファンドとの関係について「（オリックスは）たくさんのファンドに運用をお願いしている。その1つが村上さんのファンド。ファンドマネジャーの独立性が確保されなければお金を預ける人はいない。誰かが後ろで操っていたらファンドは成り立たない。金融の世界、ファンドの実態をご存じない方の話だ」と不快感を示した。
▽11月4日 オーナー会議で、球団株式の上場禁止案には猛反発。「（株式上場は）新しいビジネスモデルを構築できる可能性もあり、一切、考えられないと言い切ってしまうのは尚早ではないか」とストップをかけた。
▽12月29日 清原和博、中村紀洋と球界の顔の獲得に成功し、06年のテーマに「打倒阪神」を掲げた。「やっぱり阪神との試合が関西を盛り上げる。むこうはもともと元気だから、われわれが頑張らんといけない。盛り上げる責任がある」と怪気炎を上げた。
