オリックス山本由伸投手(23)が球界最高先発投手の称号を得た。故沢村栄治氏を記念し、シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が22日、都内で開かれ、選考基準全7項目中5項目をクリアした山本が初受賞で選ばれた。

満場一致だった。堀内氏、山田久志氏、平松政次氏、村田兆治氏、北別府学氏(療養中のため文書で参加)の間で大きな異論は出なかった。堀内委員長は「5項目をクリアした山本投手が、選考の第1番目で名前が挙がった。他の投手は残念ながら比べようがないぐらい突出している」と説明した。

(1)15勝以上(2)150奪三振以上(3)10完投以上(4)防御率2・50以下(5)投球回200以上(6)登板25以上(7)勝率6割以上。山本は完投数と投球回以外はクリアした。中日柳が4項目、阪神青柳が3項目、楽天則本昂が2項目と続いたが、山本の絶対的選出を脅かすものはなかった。堀内委員長は1項目のオリックス宮城を「どうしたらいいだろう?」とダブル受賞についても他の選考委員に振ったが「彼はもっと大きくなる投手なんで来年以降を、期待しております」と強くは主張しなかった。

山田氏は春季キャンプで臨時コーチを務め「沢村賞を狙ってみろとハッパをかけていた。まったく驚いていないし、そのくらいの力のある投手に成長したと思っている」と確信していた。平松氏も「山本の数字が他を圧倒している」と賛辞を並べた。あまりの“独走”に村田氏は球界全体での完投数の低下を課題に挙げ「沢村賞は私たち選考委員から見てもすごく重みのある賞だと思う。だから山本以外の投手はしっかりと意識を変えて、球界が盛り上がるように。確かに打高投低というのはありますが、レベルが低すぎる」とライバル出現を切望していた。

◆沢村賞選考委員(敬称略、就任順)平松政次、堀内恒夫、村田兆治、北別府学(療養中のため欠席、規定により書面を提出して選考に参加)、山田久志

◆沢村賞 故沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。同賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定。89年から両リーグが対象。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。