2年前の輝きを取り戻す。ソフトバンク甲斐野央投手(25)が24日、宮崎秋季キャンプのシート打撃に登板し、復活を印象づけた。打者7人に直球のみで被安打1。東京五輪で金メダルを獲得した同学年の栗原に対しては、150キロの直球でバットの根元をへし折り、投ゴロに仕留めた。「折ったったわ!」と満面の笑み。「オリンピアンですし、同級生。打たれたくない気持ちは出ました。本人も悔しがっていたので、その顔を見るとすごく気持ちよかったです」と、試合さながらのガッツポーズを見せた。

18年のドラフト1位右腕。19年はルーキーながら65試合に登板したが、その後右肘を手術し、20年は1軍登板なし。今季登板も22試合にとどまった。「中継ぎで勝負したいので50試合登板はメド。そこを目指してやっていきたい」。藤本博史監督(58)は、来季去就が未定のモイネロを8回、守護神森を9回で起用する構想をもつ。「8、9回はバケモンみたいなピッチャーがいる。かなわないと思いたくないけど、自分を見直すと、かなわない。なんとしても7回に食い込めるように」。この日計測した最速152キロの力強い直球を武器に、「勝利の方程式」への返り咲きを狙う。

指揮官は「甲斐野も今年は不本意なはず。明るく振る舞っているけど考えているところはあると思う」と、胸中を察する。その上で「少しずつ変わってきている」とうなずき、さらなる成長を心待ちにした。【只松憲】