オリックスは「アラフォー」救援トリオの意地が光った。大勝負の延長。11回、先頭で日本シリーズ2本塁打の大砲村上を迎えると、中嶋聡監督(52)は42歳左腕の能見篤史兼任コーチを投入した。ボール先行から際どいコースへの速球2球で並行カウントに戻し、低めのフォークで左飛に料理。プロ17年目の技量は健在だった。

日本シリーズ登板は阪神時代の14年以来、7年ぶりで、鮮やかなワンポイントリリーフ成功。全盛期と変わらずマウンドで表情を変えず、厳しい勝負の世界で生きる男の真骨頂だった。

能見の心意気をつないだのは38歳比嘉幹貴だ。1死後、サンタナを追い込んで外角低め速球で見逃し三振。走者を出しても落ち着いたマウンドさばきで、つけいるスキを与えなかった。

延長に突入した10回は37歳の守護神平野佳寿に託す。2死後、青木に左翼線二塁打を浴びたが山田を内寄りフォークで遊飛に詰まらせた。第5戦で日本シリーズ初登板初セーブを挙げていた。この日もベテランらしく役目を果たした。

3人で必死につなぎ、土壇場の10、11回を無失点で耐えた。チームは最後に力尽きたが、プロで生き抜いてきた男たちの誇りが際立った。【酒井俊作】

▽オリックス能見(延長11回に登板して村上を左飛)「自分のできることを頭に入れていた。1発だけは避ける。後ろにいい投手もいますから」