ポスト誠也に名乗り-。広島ドラフト6位末包(すえかね)昇大外野手(25=大阪ガス)がキャンプ初日から長打力を見せつけた。

フリー打撃で94スイング中、柵越えは17本を数えた。課題が見られる中でのパワーに、首脳陣は高評価。キャンプ初日から即戦力と期待される新人大砲が、持ち味のパワーで強烈なインパクトを与えた。

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伸びた打球が、なかなか落ちない。末包が捉えた白球は、左翼フェンス奥の芝生を何度もはねた。まさに長距離砲の弾道だ。打撃投手から3本の柵越えを記録すると、カーブ設定の打撃マシンでは31スイング中14本の柵越えを放った。飛距離を出しやすい設定とはいえ、柵越えの数や弾道は際立っていた。東出野手総合コーチも「すごい。(打球の)音が1人だけ違う。パワー、飛距離は教えられない。持って生まれたもの」と目を丸くした。

キャンプイン前夜は胸の高鳴りから3時まで眠れず、練習では先輩選手との初対面に緊張や力みもあった。あいさつ代わりの柵越え連発にも、本人は反省の弁を並べた。「いやもう、全然内容がダメだった。悪い部分はしっかり今日出た。やっぱり意識しないと悪い部分が出てくる。そこを意識して明日からやっていきたい」。久しぶりの屋外での打撃練習に力んだか、タイミングやテークバックにズレが生じた。本来の打撃でない中で示した飛距離に、佐々岡監督は「これからでしょうけど、あれだけ飛ばす力というのは魅力だと思う」と高く評価した。

午前中の守備練習では本職の外野ではなく、一塁でノックを受けた。「何とか出来るようにしていきたいと思います。体重が重いので、ベルトだったり道具が先に悲鳴を上げないようにケアしながら頑張りたい」。慣れないポジションにも意欲的に取り組む。

初日から持ち味を発揮した大砲は、鼻息荒く“ポスト誠也”に名乗りを上げた。「『4番』は空いているので、そこを目標にやってますし、最終目標はそこなので。まずはレギュラーを取る、そのチャンスをモノにできればなと思います」。今後も飛距離でアピールしながら、打撃内容にこだわり、ポジション奪取を目指していく。【前原淳】

◆末包昇大(すえかね・しょうた)1996年5月27日生まれ、香川県出身。坂出・白峰中の軟式野球部から高松商、東洋大を経て、19年に大阪ガスに入社。2年目夏から4番に座り、昨年7月に優勝した日本選手権では5試合7打点の活躍で「打撃賞」を受賞した。社会人時代の愛称は「ジャンボ」。50メートル6秒2。遠投110メートル。身長188センチ、体重110キロ。右投げ右打ち。