楽天西川遥輝外野手(29)が、チームの攻撃を変える。今季、日本ハムから加入し、2月は練習試合やオープン戦で主に1番打者を務めた。新たな顔触れが先発メンバーに名を連ねたことで、どんな効果が生まれているか。早くも垣間見える場面があった。

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24日の練習試合巨人戦(那覇)。1回の第1打席に右前打で出塁すると、すかさず盗塁。小郷の右前打で一気に三塁を回り、先制のホームを踏んだ。続く3回先頭の場面では四球で出塁。ここでも二盗に成功し、和田恋の右前打で生還した。これまで盗塁王を4度獲得した実績。長打でなくても自らチャンスを作り、得点に結び付けた。楽天は昨季までチーム盗塁数が4年連続リーグ最下位。課題の機動力を補っている。

自分の長所を最大限に発揮させるため、“振らない”強さを持っている。27日中日戦(北谷)では、1回、3回と四球で連続出塁をした。際どいコースでも、ボール球は一切手を出さない。抜群の選球眼で、悠々と一塁へ向かった。5回無死一塁の第3打席では、外角高めのカットボールを鋭くスイング。打球を中越えに運び、快足を飛ばして三塁打にした。持ち味が出た試合。石井GM兼監督からは「すごいとかすごくないという感情はない。健康でいてくれれば、しっかりとパフォーマンスを出してくれる。それはキャリアが実証している」と厚い信頼を寄せられている。

楽天への入団が決まったとき、指揮官は「塁に出ることに特化した素晴らしい選手ですし、次の塁を狙うというところも素晴らしい才能を持っている」と獲得の理由を説明した。自慢の走塁に加え、4割超えの出塁率を2度経験。多くの場面で、塁上から相手にプレッシャーをかけられる貴重な存在だ。チームの得点へ起爆剤となれる切り込み隊長。1人の選手の加入で、早くも化学反応が起きてきている。【湯本勝大】