DeNA牧秀悟内野手(23)が、開幕4番決定に御礼打を放った。1点を追う1回に中前へ同点適時打。逆転勝利を呼び込み、チームはオープン戦3連勝で単独首位をガッチリキープした。試合前に三浦監督が明言し、60年桑田武以来62年ぶりの2年目の4番に指名された。昨季数々の新人記録を打ち立てた新4番が、最下位から逆襲を図るチームの主役になる。

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新4番牧のバットは強振がすべてではない。初回、先制された直後の攻撃でいきなりチャンスが回ってきた。1死一、二塁。1ストライクからの2球目、意表を突く110キロのカーブ。タイミングは外されても、体重を残しコンタクト。弧を描きながら中前へ落とす同点打に「いいヒットというわけじゃないが、打点につながる、チームが勝つためのヒット。そういうチームに勢いを付けられるようなバッターになっていきたい」。所信表明通りの打撃だった。

最下位から優勝への逆襲を演じるドラマの主役に「4番牧」が指名された。三浦監督から数日前「4番でいくぞ。ドッシリと構えてくれたらいい」と言われ、入りかけた肩の力を抜いた。牧は「小さいときはラミレスさんとか清原さんが“ザ・4番”というイメージはある。自分はまたタイプが違うので、自分らしい4番をつくっていけたら」と3試合連続打点をマークし、チームもそのまま3連勝。オープン戦全8試合4番に入り、打率4割5分5厘、得点圏6割3分6厘と驚異的な数字を残し、勝負強さに磨きがかかっている。

2月の春季キャンプに出遅れても、揺るがなかった。新型コロナウイルスに感染したため、隔離期間を経て遅れて2軍キャンプスタート。焦り掛けた裏で、三浦監督の言葉があった。「治ったら焦らずやってくれ」と直電を受け、アクセルとブレーキを踏み分け1軍合流を果たせた。

入団2年目選手の開幕4番は球団史上62年ぶり。牧が原動力となったチームは、オープン戦単独首位を走り勢いづいている。「4番で使っていただけるなら、シーズン終わりまでずっと貫いていきたいのが普通。その任された打順で、1年間戦い抜けるように頑張っていきたい」。開幕4番だけで終わらせるつもりはない。日本一の4番まで走り抜ける。【栗田成芳】

◆桑田武の開幕4番 DeNAでプロ2年目までに開幕戦4番で先発出場したのは、大洋時代の桑田武しかいない。桑田は牧と同じ中大出身。ルーキーの59年から2年続けて開幕4番・三塁で中日と対戦し、59年は3打数無安打。60年は4打数無安打だった。4番出場試合数は59年120試合、60年100試合。59年の31本塁打は86年清原(西武)とともに新人歴代最多記録で、同年は本塁打王、新人王に輝いた。