大逆転負けの翌日は、完敗だった。阪神が投打がかみ合わず開幕2連敗だ。京セラドーム大阪にため息が充満したのは、6回。1軍初先発ながら5回まで1安打無失点と力投する小川がピンチを招いた。2死二、三塁からヤクルト4番村上に四球を与えて満塁とすると、サンタナに先制2点打を浴びて降板。一、三塁となって救援した渡辺も連打を浴びて、さらに2点を失った。

【ニッカン式スコア】26日の阪神-ヤクルト戦詳細スコア

首脳陣は左打者である村上の打席で変則左腕の渡辺を準備していたが、小川続投を決断。降板のタイミングについて、矢野監督は「点取られてないのに」と語り、福原投手コーチも「あそこは投げ切ってくれたらなという思いもありました」と補足した。中継ぎ総崩れで最大7点差を逆転された前夜の悪夢。この日も焦点になったのが、救援失敗のシーンだった。

一方で攻撃陣も天敵を前に沈黙した。左腕高橋が投じる150キロ超のストレートに手も足も出ない。7回無得点、ヒットは大山、近本のわずか2本とお手上げ。矢野監督も「あれだけみんなが差し込まれるっていうのは、球の勢いと力があったということやと思う」と表情をゆがめた。高橋は阪神戦通算10試合で3勝1敗、防御率2・25とカモ状態で、「次回どうしていくか。チーム全体としてやる必要がある」と大きな課題だ。

この日の練習前、矢野監督はセンター付近に集まるリリーフ陣の前に足を向けた。輪になる選手に向けて語りかけた。「(若い)投手陣を育てなあかんからさ。自分が気付いたことを伝えていく。不安をなるべく小さくして向かっていけるような後押しというのが、俺ができることかなと思う」と説明。さらに「毎日行こうかな」とも明かした。いきなり直面した試練。指揮官自ら動き、負のスパイラルを断ち切る。【桝井聡】

▼阪神がリーグ優勝を果たした年のうち、開幕●●発進した例は1度もない。2リーグ分立後の62年、64年は○○で、85年、03年、05年は●○。1リーグ時代の37年秋、38年春、44年、47年も2戦目までには勝利を挙げた。なお優勝球団の開幕からの最長連敗は、60年大洋(現DeNA)の6連敗。知将三原脩監督がチームを奇跡に導いた。