やっと、やっと、やっと虎が勝った!矢野阪神がセ界ワーストだった開幕からの連敗を9で止めた。

打のヒーローは4番の佐藤輝明内野手(23)だ。中野の適時打で1点を先制した初回。DeNAロメロの直球をとらえて右翼席に運んだ。40打席目の22年1号2ランに右手を突き上げ、ベンチでもほえるなど感情爆発。入場制限解除で、この3年間で最多の3万7408人が集まった今季初の甲子園でファンを熱狂させ、チームの息も吹き返させた。

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虎の4番が満員の甲子園で高々と拳を突き上げた。1回に中野の適時打で先制してなお1死一塁。「初球から強い当たりを打つつもりで集中して打席に立っていました」。DeNA先発ロメロの初球、148キロの速球を完璧に捉え、右翼席に待望の1号を描いた。

佐藤輝 本当にぎりぎりだったので一生懸命走りました。今シーズン(本塁打を)打てなかったので、1本目という意味でもすごくホッとしました。

ホームを踏むと、糸井と右手、左手でタッチを交換。ともに両手を目の上に乗せ、空をのぞく新パフォーマンスを決めた。「タティスとマチャドのが、格好いいなと2人で言っていて」。パドレスの昨季本塁打王のタティスJr.と主砲のマチャドが昨年行っていたパフォーマンスを近大の先輩後輩流にアレンジした。

キャンプから新任の藤井康1・2軍巡回打撃コーチと二人三脚でフォーム改造に着手。「構えから変えた」と軸を意識した新モデルにチェンジしたが、変わったのは見た目だけではなかった。「基本的に、ボールだと思ったら、自信を持って見逃しているんです」。

課題の内角高めの直球。外角低めの変化球。際どいコースに限りなくバットを動かさない。そして、日々の取り組みの中、1つの結論にたどり着いた。「ボール球だと思って見逃して、ストライクと言われたらしょうがないですよね。そういうボールだと思ったところに手を出してしまうと、余計にそっちの方が三振が増えてしまう」。昨季は10試合時点で18三振も、今季は7三振に抑えている。見逃し三振もいとわない究極の好球必打。フォーム改革は意識改革も生んだ。

この日の練習でも藤井康雄コーチと微調整を行った。藤井康コーチも「本人も気持ちよく振れている。今日の試合は楽しみかな」。師匠の予感に1発回答した。

勝利の瞬間、二塁ベース付近で近本や江越と抱き合った。「いやもう、間違いなく。特別な1日ですね」。ヒーローインタビュー後、勝利の六甲おろしが流れ、満員のファンと最後まで勝利に浸った。シーズンは始まったばかり。「これをきっかけにしてやるしかないので、チーム一丸となって」。4番の本領発揮はこれからだ。【三宅ひとみ】

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▼佐藤輝明が今季初本塁打。昨シーズン甲子園で佐藤輝が本塁打を放った試合での勝利は、5月2日広島戦が最後。6月3日オリックス戦に始まった甲子園での連敗は、4で止まった。

▼佐藤輝明が初回に本塁打したのは、プロ1号の昨年3月27日ヤクルト戦以来2本目。初球本塁打は、昨季6月20日の巨人戦以来こちらも2本目となった。