540日ぶり1発が2連勝を導いた! 広島堂林翔太内野手(30)が今季初めて1番左翼で出場。0-0の3回、DeNA先発上茶谷の高め直球をバックスクリーン左へ運ぶ先制決勝の1号2ランを放った。昨季は70試合に出場したが、0本塁打5打点と苦闘。復活を期す13年目の一撃が先発森下を強力援護し、打線も勢いづけて6-0快勝だ。チームは今季、DeNAに5戦5勝。3差で追う首位巨人をピタリマークだ。

【関連記事】広島ニュース一覧

快音を残した堂林の打球はぐんぐん伸びた。中堅大田が懸命に背走したが、フェンスの数メートル手前で足を止め、向こうを向いた。確信に変わったファンから大歓声が湧く。飛球はバックスクリーン左に消えた。0-0の3回。上茶谷から今季1号となる特大の先制2ラン。「感触はすごく良かったので入ると思った」。かみしめるように、ゆっくりとダイヤモンドを回った。

決勝点となった先制弾で文句なしのお立ち台。1号2ランの感想は「懐かしい感じがしました」。本塁打は20年10月30日中日戦(ナゴヤドーム)以来、540日ぶりだった。「お客さんがたくさん入った中での本塁打だったので、2年前とは違う感触でした」。前回は入場制限もあり、観衆は8031人。一方この日は2万9818人。大歓声を背に受け、歓喜に浸った。

昨季は2年連続で開幕スタメンをつかんだが、定着はできなかった。70試合に出場したが0本塁打でわずか5打点。悔しいシーズンになった。開幕前に行う恒例の護摩行で今年、その悔しさを言葉にした。「結果を残すしかない」。火柱を前に強い覚悟を決め、13年目シーズンに入った。「守備位置にこだわりはない。使ってもらえるように準備していくだけ」。試合前練習では三塁、一塁、右翼、左翼とせわしなく移動し、ノックを受ける。替えたグラブの数は、貪欲に出場機会を求めている証しだ。

今季初の1番。3番に西川を据えたことで2年ぶりにリードオフマンを任された。佐々岡監督は「期待に応えてくれる久々の本塁打。(チームにも)大きかった」と喜んだ。復活した背番号7が、首位巨人猛追の旗印になる。【前山慎治】

○…広島森下が7回無失点でリーグトップに並ぶ3勝目を挙げた。前回登板の17日中日戦では自己ワーストの2回8失点KO。この日も8安打されたが、要所を締めて本塁を踏ませなかった。「走者を出してもゼロで抑えられた。前回は最悪の投球だった。今日は初回からゼロで抑えようと思っていた」。中5日で態勢を立て直し、結果で示した。

○…広島ドラフト6位新人の末包が3戦連続の複数安打で打率を3割9分1厘に上げた。3回無死では東洋大同期の上茶谷から中前打。6回2死二、三塁では三上から右越えの2点適時二塁打を放ち、3戦で8安打と絶好調だ。「良い状態で振れている。(上茶谷は)大学時代から良い投手。相変わらずスゴかった」。6回1死ではソトの右前への打球を素早く処理し、野球人生で「初めて」というライトゴロも成立させるなど、攻守で勝利に貢献した。

○…広島坂倉は右翼フェンス最上段に当たる2点適時二塁打を放ち、リードを4点に広げた。2-0の6回1死満塁から上茶谷が投じた、甘い直球を芯でとらえた。あと数十センチで本塁打になるフェンス直撃打。「森下さんの投球の流れに乗って打つことができた。援護になって良かった」。チームメートの会沢を抜き、得点圏打率4割8分でリーグトップに立った。