中日の根尾昂外野手(22)が甲子園で行われた2軍戦で二刀流で「プロ初登板」した。阪神戦に「2番遊撃」で先発。9回に5番手で登板し大野奨太捕手(35)とのバッテリーで打者5人と対戦し、再び遊撃に戻った。2/3回を投げ3安打1失点、最速は大阪桐蔭時代と同じ150キロだった。

「投げさせてもらい、すごくうれしかった。もっとバラバラになるかなと思ったけど、大野さんがワンバウンドを止めてくださって、何とか持ちこたえたかなと。1点取られましたけど。四球四球にはならなかったんで。どんな感じになるか自分でも分からず、楽しみにしていた。また機会があればしっかり投げていきたい」

試合後のコメントには喜びが詰まっていた。

根尾は10-4の9回に森の後を受けて、それまでの遊撃からマウンドに向かった。「5回裏に1回ブルペンに入って(肩を)つくって、ずっとショートからずっと投げていた」とセットポジションから投げ、豊田を三ゴロ、高寺、中川にはともに左前打を打たれた。1死一、二塁から遠藤に右越え適時二塁打を浴びて1失点。2死二、三塁で江越を149キロ直球で空振り三振を奪ったところで石森にマウンドを譲り、再び遊撃に就いた。

「点差もありましたし、思い切って投げられた。良かったか悪かったかで言うと、投げられたことが良かったんですけど、それ以外の感覚もなくて…。ずっとショートで4月末から守ってて、案外近いところで見てたんで。そんなに久しぶり感もなくスッと入れたと思います」

甲子園で登板するのは高校時代の18年夏の甲子園大会以来。8月18日の準々決勝・浦和学院(浦和)戦で5回2失点だった。それを聞かれると「もう、最高ですよね。シンプルにうれししかったです。懐かしかったですし、ファンの人も入ってたんで。うれしかったです」と聖地の歓声も感じ取った。

4月2日の広島戦でも試合中にブルペン入り。勝ち越しを許した延長12回にベンチ入りしていた最後の投手だった森が登板した後、不測の事態に備え、肩をつくった。出番はなかったが、立浪監督は「もしアクシデントがあった場合は根尾がいるということで一応キャッチボールはさせました」と登板の可能性を明かしていた。

高校時代に甲子園春夏連覇に貢献した最速150キロ右腕が2軍戦ながらプロでの「二刀流」を聖地で実現させた。

打者としては4打数1安打1打点だった。

<中日根尾の全球>

【打者・豊田(右)】

(1)148キロ 直球 空振り

(2)149キロ 直球 空振り

(3)132キロ スライダー 三ゴ

【打者・高寺(左)】1死走者なし

(4)150キロ 直球 見逃しストライク

(5)148キロ 直球 ボール

(6)147キロ 直球 ファウル

(7)150キロ 直球 左安

【打者・中川(右)】1死一塁

(8)147キロ 直球 空振り

(9)146キロ 直球 ボール

(10)149キロ 直球 ボール

(11)147キロ 直球 ファウル

(12)135キロ スライダー ファウル

(13)146キロ 直球 ボール

(14)147キロ 直球 左安

【打者・遠藤(左)】1死一、二塁

(15)149キロ 直球 見逃しストライク

(16)132キロ スライダー ボール

(17)132キロ スライダー 右二(1失点)

【打者・江越】1死二、三塁

(18)130キロ スライダー 見逃しストライク

(19)135キロ スライダー 空振り

(20)149キロ 直球 空振り三振(石森と交代し遊撃守備へ戻る)

◆1軍戦での過去の主な野手登板 直近では20年の増田大(巨人)が8月6日阪神戦で登板。11点リードされた8回1死から登板し、1四球を与えるも無安打に抑えた。他には70年広瀬(南海)95年デストラーデ(西武)00年五十嵐(オリックス)ら。74年には高橋博士(日本ハム)が1試合で全ポジションを守る珍記録を作るために登板している。

◆根尾と甲子園 大阪桐蔭2年春夏(17年)3年春夏(18年)と4度出場し、2年夏を除く3大会で優勝。豪快な打撃に加え、投げては最速150キロの「二刀流」として注目された。2年春は履正社との決勝で9回から救援し、5点リードを守った。3年春も智弁和歌山との決勝で2失点完投。2度の胴上げ投手となった。打っては通算で打率3割7分1厘、3本塁打。3年夏は金足農との決勝で2ランを放ち、春夏連覇の立役者となった。