トンネルの先には、自身の今季初勝利とチームの1カ月ぶり連勝があった。ロッテ美馬学投手(35)が楽天打線を6回7安打2失点。開幕から4戦4敗だったが、ピンチで踏ん張り今季1勝目を挙げた。打線は2本塁打を含む10安打5得点。投打がかみ合い、首位相手に4月12日以来の連勝で5カードぶり勝ち越しだ。13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)は佐々木朗希投手(20)が先発。上位浮上へ、勢いに乗る。

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最後に美馬を支えたのは、決め球と女房役への信頼だった。1点リードの6回2死二、三塁。辰己を2球で追い込んでから、我慢比べが始まった。「一番長打が少ない球を。投げミスも一番少ない」とフォークを続けた。前回5日の西武戦では同じ6回、高めにいき中村に3ランを打たれた球。それでも、信じた。「球数も少ない。全然、投げられる」。

ボール、ボール、ボール。低めに落としたが、手を出してこない。3ボール目はワンバウンド。後ろにそれれば同点だったが、松川が止めた。「開幕からずっと止めてくれている」と信じて、次もフォーク。真ん中に入ったが、中飛に仕留めた。ベンチへ引き揚げるとき、松川の背中をたたいて感謝を伝えた。

開幕から1カ月以上勝てない間も「状態は悪くない。そうプラスに考えられています」と言った。4連敗でも防御率は3点台。同4・92で6勝に終わった昨季との違いは感じていた。登板間のブルペンは約30球から倍の約60球に。「体もそんなに痛いところがない。投げられるときに、しっかり練習する」。打線は、いつか援護してくれるはず。そう信じ、準備してきた。

ついに来た。4回までに3点をもらい「逆にドキドキ。守らなきゃと。勝ち慣れてない緊張感」と苦笑いした。そんな“逆風”も乗り越え、守り切った。「めちゃくちゃ、うれしい。何だろう。簡単に勝つときは勝つし、勝てない時は勝てない。難しさ。あらためて感じました」。プロ12年目の言葉には勝負の真理が詰まっていた。【古川真弥】

 

○…打線が美馬を援護した。岡の2ランなどで4回までに3得点。1点差に詰められた7回は無死二塁で松川が3バントを決め、1死三塁から高部の二ゴロでエチェバリアがギャンブルスタートで生還。8回はレアードがダメ押しソロを放った。右太もも裏肉離れの菅野に代わり、1軍復帰したマーティンも四球に二塁打と気を吐いた。井口監督は「打線が援護できていなかった。今日は何とかできた」と長打に小技と足を絡めた攻撃をたたえた。

▽ロッテ井口監督(美馬に)「しっかり投げてくれた。あそこ(6回1死二、三塁)でギアを上げて、ゼロに抑えたのが大きかった」

▽ロッテ・レアード(8回に4月9日以来の3号ソロ)「本当に久しぶりだったので最高に気持ち良かったよ! ネタはもう大トロだよ!」

▽ロッテ・エチェバリア(4回に岸のカーブを左翼線へ適時二塁打)「前の打席(2回)で三振していた球だったので、追い込まれてからカーブをマークした」

▽ロッテ岡(2回に先制の2号2ラン)「美馬さんにはずっといいピッチングをしてもらってたので、何とか勝ちを届けることができて良かったです」

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