「反撃の巨人」が再発動した。巨人がDeNAに逆転勝ちし、連敗を5で止めた。

右肘違和感から復帰登板となったエース菅野智之投手(32)が、6回5安打1失点の粘投で4勝目をマーク。中12日のマウンドは感情をむき出しにし、味方を、自分自身を鼓舞した。同点の3回には主砲の岡本和真内野手(25)が6戦ぶりの12号決勝ソロ。帰ってきたエースと目覚めた主砲の活躍で再浮上への1勝をもぎとった。

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雨の横浜で、エース菅野がほえた。1点リードの6回2死一、二塁。DeNAの代打藤田を外角高め147キロ速球で空振り三振に斬った。「ここをゼロでいけば、より勝利に近づくと確信していた」。こん身の100球目でピンチをしのぎ、マウンドからチームを鼓舞した。

不運にも動じなかった。1回先頭の桑原に左翼手と遊撃手の間に落ちる二塁打で出塁され、先制点を奪われた。雨でマウンドもぬかるみ「スパイクの役割を果たせないくらい」という悪条件の中、冷静さを貫いて踏ん張った。

4回2死満塁では打席に迎えた投手大貫を147キロで空振り三振。雄たけびとは対照的にエースのプライドを誇示し、感情を封じ込めた。「たくさんピンチを背負って、打者と駆け引きしながら成熟してきている。また1つ、ステップを踏めた」とうなずいた。

重心のバランスを整えて戻ってきた。4月29日の阪神戦で右肘の違和感を訴えて、3回2失点で自ら降板を申し出た。ジャイアンツ球場での調整中は、今季から取り入れられた地面からの反力を測る機器を活用。正面と横に取り付けた2台のカメラの映像も参考に、重心や体重のかかり具合、腕の角度などの細部を繰り返し確認した。

プロ10年目の32歳。過去と現実のギャップに揺れる。若き日の好調時は「足を上げて体重移動して腕を振るだけ」で良かった。しかし、今はそうもいかない。「そこまで深刻な状況じゃないですけど、思い描いているメカニズムと実際の動きが違う部分がある。データ化して数値化して、どれだけ違うかを把握して練習するのが大事」と現状を受け入れ、明確な数字をはじき出すテクノロジーに活路を見いだす。

坂本、吉川不在の中でチームも今季最長5連敗と苦しんだ。エースが粘って勝利へと引っ張り上げ「今日の1勝で良い流れになると思う。明日からチームも頑張ってくれると思います」と言った。ずぶぬれでもぎ取った1勝が、反撃への足掛かりになる。【小早川宗一郎】

○…巨人戸郷がリーグ単独トップの5勝目を狙う。13日の中日戦(東京ドーム)に中8日で先発する。今季初対戦となる中日戦は、昨季3試合に先発し、19回1/3で、防御率1・86、被打率1割4分5厘と得意にする。「長いイニングを投げて、チームに良い流れをもって来られるようなピッチングができるよう頑張ります」と意気込んだ。

▽巨人中田(8回1死満塁で右犠飛。4月3日阪神戦以来の打点をマーク)「1点差だったので、結果はどうであれ追加点が取れてよかったです。たて(立岡)のナイスランです!」

▽巨人大勢(9回を3者凡退に抑え13セーブ目)「前回の失敗から何が悪かったか向き合って改善しようと思っていたので、今日は3人で抑えることができて良かったです。しっかり悪かった自分を見つめ直せたのが良かったのかなと思います」

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