西純に負けてはいられない。阪神野手陣も奮起し、今季初の中軸そろい踏みでヤクルトを圧倒した。初回に3番ジェフリー・マルテ内野手(30)が先制の1号ソロを放つと、3回は5番大山悠輔内野手(27)が中押し3ラン。とどめは4番佐藤輝明内野手(23)で、6回に新人から2年連続2桁弾となる10号ソロを決めた。1試合4発も今季初で、前夜逆転サヨナラ負けの鬱憤(うっぷん)を晴らす神宮花火ナイトになった。

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またしても、佐藤輝が球団の歴史に名前を刻んだ。第1打席、第2打席と空振り三振に終わり、6回に先頭で3打席目が回ってきた。「昨日、今日と打つことができていなかったので、なんとかやり返したいと思っていました」。カウント1-1の3球目。3番手木沢の154キロの直球を完璧に捉えてバックスクリーン右へ豪快なアーチを描いた。「すごいいい当たりでしたよね」と納得の表情。球団で新人から2年連続2ケタ本塁打は80年、81年の岡田彰布以来、41年ぶり、4人目の快挙に「まだ10本なんで、もっと打ちます」と頼もしく宣言した。

チームは初回に先発高橋からマルテが先制ソロ、2回には西純がプロ初となる右翼越え2ラン。さらに、3回には大山が3ランを放ち、最後は4番の大砲がヤクルトにとどめをさした。3番マルテ、4番佐藤輝、5番大山の布陣でのホームランそろい踏みは初めて。開幕カード3連敗を喫した相手に豪快アーチを量産。前戦で痛恨の逆転サヨナラ負けを喫した鬱憤(うっぷん)を晴らす今季初の4本塁打でファンを沸かせた。

バックスクリーン弾を打った理由にご当地ものが絡んでいた。ここまで打率2割8分6厘、リーグ3位の10本塁と好調の理由に「いっぱい練習しています!!」と言いながらも、「タフマンっすかね。神宮に来たらタフマンが飲めるので、それでパワーが出ました」と告白。ヤクルトが販売するロングセラー栄養ドリンク「タフマン」を飲み干してパワーチャージ。万全の状態を作って、神宮での試合に臨んでいるようだ。

15日のDeNA戦(横浜)での2発の理由では、納豆卵ご飯がパワーの源だと話していた。タフな遠征が続いているが、ご当地グルメもうまく味方につけて、アーチを量産する。【三宅ひとみ】

◆岡田彰布の1、2年目 早大から79年ドラフト1位で入団。1年目の80年はブレイザー監督が「新人にすぐ定位置を与えない」方針で、二塁はヤクルトから移籍したヒルトンを重用。ファンから猛抗議が起き、ヒルトン、さらにはブレイザー監督まで途中退団する事態に発展した。5月中旬に中西太監督に代わってからは出場数も増え、打率2割9分、18本塁打で新人王を獲得した。2年目の81年は二塁のレギュラーに定着。全130試合に出場し、打率2割8分9厘、20本塁打と結果を残した。85年には5番打者として日本一に貢献するなど、通算247本塁打の主力に成長した。

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