左、右、中!! ヤクルト塩見泰隆外野手(28)が、2番打者では史上2人目の3打席連続本塁打を放った。「日本生命セ・パ交流戦」2カード目の楽天戦は、まず1回1死、左翼席へ先制6号ソロ。2回1死一、二塁では右中間へ7号3ランを放つと、4回1死では三たび滝中からバックスクリーンへ8号ソロを運んだ。今季初めて座った2番で大暴れし、“両リーグ首位対決”初戦を勝利に導いた。

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「自分でもビックリ。怖いくらいです」と塩見も驚く3連発だ。4回1死、2球目の外角129キロスライダーをはじき返してバックスクリーンに運ぶと、どよめきが混ざった、この日3度目の歓声を受けてダイヤモンドを周回。序盤で試合を決定づけたヒーローは「野球はホームランっていうイメージがある。すごい華がありますし、僕にとってホームランを打つことはうれしいし、大切なこと」と振り返った。

1回1死の第1打席は3球目の低め142キロ直球を「とにかく塁に出るということを意識してコンパクトに振った結果」が先制弾。2回1死一、二塁では5球目の外角141キロ直球を「コースに逆らわず打つことができました」と右中間へ。「けっこう意識していた」と、史上3人目となる4打席連発のかかった6回2死は遊ゴロに終わったが、「甘いボールが来たのに捉えきれなかったのは自分の実力のなさ。これからまたどんどん練習して頑張っていきたい」とさらなる向上を誓った。

今季初めて「2番中堅」で先発。最近は徐々に「らしさ」を取り戻している。昨季は打率2割7分8厘、14本塁打でベストナイン獲得も、リーグワースト2位の156三振を喫した。今季は三振数減少を課題に取り組んできたが、それが持ち味を損なう形にもなった。三振を避けようと初球から難しいボールに手を出し、凡打に終わる打席が増えた。自覚はしていたが川端や嶋捕手兼任コーチ補佐から「三振を気にしすぎなんじゃないか」と指摘され、目が覚めた。「それじゃ本末転倒。積極的に甘いボールを打ちに行くのが元々のスタイル」と持ち味を再認識した。

今季は48試合消化時点(出場46試合)で40三振。シーズン換算で120三振のペースだが、もう三振は気にしない。昨季以上に「野球の華」を咲かせていく。【鈴木正章】

▼塩見が自身初の1試合3本塁打。ヤクルト選手の1試合3発は16年山田以来で、3打席連続本塁打は06年ラロッカ以来7人目。楽天生命パークでの3打席連発は17年アマダー(楽天)以来だが、日本人選手では75年山崎(ロッテ)以来47年ぶり。また、2番打者の3打席連発は04年内川(横浜)に次ぎ2人目。これまで2番と9番だけが、3連発を記録した打者が1人しかおらず(9番は67年の巨人堀内)、2番での3連発は珍しかった。

▼1試合3本塁打以上は今回の塩見で186人目(273度目)で、そのうち3打席連続本塁打は96人目(120度目)。ちなみに、1試合3発の通算最多回数はブライアント(近鉄)の8度で、89年にはシーズン4度も記録している。

◆塩見泰隆(しおみ・やすたか)1993年(平5)6月12日生まれ、神奈川県出身。武相-帝京大からJX-ENEOSを経て、17年ドラフト4位でヤクルト入団。昨季は9月18日巨人戦でサイクル安打を達成するなど、打率2割7分8厘で初めて規定打席に到達(13位)。初のベストナインを受賞した。179センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4500万円。

▽ヤクルト高津監督(塩見の3打席連発に)「よく分からないね、彼はほんとに。明日から逆に楽しみ。サイクルもするし、4三振もする男だから」