キャプテンの復活祭だ。巨人坂本勇人内野手(33)が「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で美しすぎる復帰を遂げた。右膝の故障から40日ぶりに1軍に合流。「5番遊撃」でスタメン出場し、先制適時打を含む3安打猛打賞の大活躍でチームの連敗を3で止めた。前夜、準完全リレーを食らい沈黙した打線は2ケタ13安打で息を吹き返した。山賊に打ち勝ち、キャプテンの快気を祝った。

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坂本が守備に就くと、敵地のファンからも拍手が起きた。帽子を取って深々と頭を下げる。球界を代表する選手の復帰は、ひいきのチーム関係なく歓迎された。

ただの復帰ではない。完璧な結果で返り咲く。ブランクなど、どこ吹く風。「いつも通り入れた」という第1打席で早速、安打を打つと、第2打席は42日ぶりの適時打を放った。

3回2死一、二塁。カウント2-1から西武隅田が投じた119キロチェンジアップを左前へ。外角低めへ沈む球を、ケガをした右膝で踏ん張りながらチームに先制点をもたらした。

「復帰戦で何とか結果が出て良かった。ただそれだけです」。第3打席では通算174度目の猛打賞となる中前打。歴代7位の立浪和義(中日)にあと1度と迫り、ケガを乗り越えた体は充実に満ちていた。

右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で40日間のファーム生活。14年連続100試合出場、通算2151安打の大打者でも、不安はつきまとった。「上でちゃんと守れるか、打てるかどうか。やはり1度試合から離れると体のキレだったりと、不安はあります」。解消するには「やれることをやるしかなかった」。

冒頭の一礼。ファーム調整中でも同じような光景が何度も見られた。キャッチボール、ティー打撃、フリー打撃。あらゆる練習の最後に担当したコーチ、スタッフに頭を下げた。ノックを受けた後にはトンボを手にする。守備練習で荒れた土のグラウンドを自ら整地した。不安の中、一から野球と向き合った。

主将が戻り3連敗でストップ。「チームの結束がさらに固くなったか」と問われ「たまたま勝ったから、そう見えるんですよ」と謙遜する。エース菅野が発熱で先発を回避したことにも触れ「智之のことも含め、本当に皆でカバーして、1年間戦うことが大事」。華麗なる復帰にも、主将の顔は引き締まったままだった。【三須一紀】

<坂本復帰までの道のり>

◆4月30日 阪神戦(東京ドーム)の守備で右膝を負傷

◆5月1日 出場選手登録を抹消され、ファームで調整

◆同25日 3軍戦で実戦復帰。2打数無安打

◆同26日 3軍戦で実戦復帰後初安打。2打数1安打

◆同28日 イースタン・リーグ楽天戦で2打数1安打。2試合連続安打

◆6月7日 同・ロッテ戦で実戦復帰後初めて守備につく

◆同8日 同・ロッテ戦の第1打席で実戦復帰後初長打となる右中間二塁打

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