阪神がDeNAに逆転サヨナラ負けし、5位に転落した。7回に主砲の佐藤輝が14号ソロ。55打席ぶりのアーチで最大4点差を追い付いた。流れを変えたチームは8回に勝ち越したが、9回に抑えの岩崎がセーブ機会で2失点と誤算だった。DeNAにシーズン2度の同一カード3連戦3連敗は22年ぶりという屈辱となった。

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コンマ数秒、数センチの勝負に敗れた。9回に同点に追い付かれ、なお2死一、二塁。嶺井の一、二塁間を破るゴロは、右翼・佐藤輝の前に転がった。チャージをかけ本塁へワンバウンド送球。二塁走者の大田は捕手梅野のタッチをかいくぐり、左手でホームベースに触れた。

判定は…セーフ。矢野監督はすかさずリクエストを要求したが覆らない。一塁側ベンチから飛び出してきたDeNAナインが、サヨナラ負けの証しだった。DeNAに今季2度目の3連戦3連敗。00年以来という屈辱を味わった。隙のない佐藤輝のプレーはわずかに及ばなかった。

背番号8は最後までファイティングポーズを崩さなかった。1点を追う7回2死。左腕エスコバーの154キロ速球を右翼席中段まで運んだ。ボール気味の高めに負けず、力と力の勝負を制した。6月12日オリックス戦の第5打席以来、55打席ぶりの14号同点ソロ。今季最長だったノーアーチの壁を破った。昨季場外弾を放った横浜で今季4発目。矢野監督も「久しぶりに輝らしいバッティング。相手のセットアッパーっていうところではいいホームランだった」とたたえた。

直後、右翼守備に向かう際には、スタンドのファンに「もっと盛り上がれ」と言わんばかりに、両手を上げてアピールした。4番の思いが乗り移ったかのように、チームは8回に勝ち越した。1死三塁から、梅野が二ゴロを転がし、その間に三塁ランナー植田が生還。しぶとく1点をもぎ取っていた。

それでも、勝てなかった。守護神岩崎が2失点で今季7度目のサヨナラ負け。DeNAと入れ替わり5位に転落した。「3連敗しちゃったっていうことは受け止めながら前に進んでいくしかないと思う」。矢野監督の言葉通り、必死に切り替え、名古屋での7月反攻に挑む。【中野椋】

▼阪神がDeNAに同一カード3連敗。4月19~21日にも3連敗を喫しており、DeNAにシーズン2度目は00年(3度)以来、22年ぶり。横浜スタジアムでも00年以来となるシーズン2度目の同一カード3連敗となった。

 

○…阪神山本が今季3度目の1試合3安打をマークした。2回、4回、6回と走者なしからチャンスメーク。6回は1死から中前にはじき返し、ロハスの適時打で生還した。8回の第4打席も犠打を決め、一時勝ち越し劇をお膳立て。「しっかり準備してきたことが試合で出せている。頭と体の準備をしています」。いぶし銀のユーティリティーが、存在感を増している。

○…阪神ロハスが久しぶりの打点で貢献した。2点を追う6回2死二塁に代打で登場。東のチェンジアップを拾って中前に運んだ。「何とか走者をかえせるようにという気持ちだった。打点をあげることができてよかったよ」。5月8日中日戦以来の、今季10打点目。攻略に苦しんだ東を降板させる一打だった。

○…3番手岩貞が粘りの投球で6回の1イニングを0点に抑え、7回の佐藤輝の同点14号ソロへと攻撃のリズムをつくった。先頭ソトを低めスライダーで空振り三振。左の森に5本のファウルで粘られたが、9球目のフォークで空振り三振。1安打は許したが、あわてず後続を断った。「リリーフ陣で守備から流れを持ってこようとブルペンで話してた。0でつなぐことができてよかった」と、言葉通りの仕事を果たした。

○…湯浅は冷や冷やの無失点だった。直前に1点を勝ち越し、逃げ切り態勢に入った8回に登板したが、2安打に失策もからんでピンチを招いた。最後は2死一、三塁で大和を4連続直球で空振り三振。「走者は出してしまいましたが、粘って0点で抑えることができてよかったです」と振り返った。リーグトップのホールドを「21」とした。