エースが、またも猛牛退治に成功した。日本ハム上沢直之投手(28)が、対オリックス戦で10連勝を達成した。

6回2/3を投げ8安打1失点で5勝目。今季ワースト4四球、自己ワースト2死球と乱れながらも踏ん張った。6月は0勝1敗に終わったが、7月初戦で白星スタート。チームの連敗を「2」で止めた。

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相手打線に牙をむかれながら、上沢は踏ん張った。1点リードの4回2死満塁。宗を見逃し三振に斬ると、たまらずほえた。「あまり精神論は好きではありませんが、気合で何とかするしかありませんでした。調子うんぬんではなく、魂込めて投げました」。「気合」と「魂」で状態の悪さをカバーし、リードを守った。7回途中1失点は、気迫のこもった投球のたまものだった。

無類の強さは健在だった。18年4月24日から続いていた対オリックス戦の連勝を「10」に伸ばした。球団では15連勝の金村以来となる、同一カードの2ケタ連勝。「本当に、何もないです。たまたま」と控えめに受け止め「やっぱり怖いのは、怖かったです」と1発のある強打者ぞろいの打線に立ち向かった。

プロ11年目となり、新たな技を実践している。今季から試合中の“イメチェン”を敢行。試合終盤に最速150キロを投じて、打者を翻弄(ほんろう)している。「流れを渡さないようにしたいというか、終盤にガクっと落ちて『コイツいけるな』って思われるのは嫌。まだまだコイツ投げられるなと思わせたい」。守備に就いている野手陣にも余力があることを見せ、安心感を与える作戦でもある。

6月は未勝利も「また気持ち新たに頑張ろう」と臨み、7月初戦でチームトップタイの5勝目を挙げた。チームの連敗を2で止め、新庄監督は「さすがに7回まで投げてくれたっていうのは、一番勝ち星を挙げている投手だなって思いました」と、たたえた。上沢は勝利後、恒例となった円陣の中心で口を開いた。

「今日、僕全然ダメでしたけど気合で何とかしたので。1球1球、魂込めて投げて気合で何とかしたので、明日から試合続きますけど、みなさんも強い気持ち持って、気合で頑張っていきましょう」。反攻の夏へ、エースは「精神論、語りまくり」で士気を高めた。【田中彩友美】

○…日本ハム上沢とオフに合同トレを行う田中が、この日支配下登録された。「本当にうれしかったです。真っ先に、一番最初に連絡くれた」と喜んだ。周囲から「似ている」と言われ、話していても波長が合うという。「でも本当にこれから。支配下になっただけだから、これから頑張らないといけないよという話はしました。瑛斗もいつか一緒にローテーションを組んで投げたいと言っていたので、すごくうれしいですね」と弟分の成長を願った。

○…日本ハム石井が先制&決勝打で上沢を援護した。2回2死一塁、狙っていた直球を振り抜き、右中間への適時三塁打。故郷・栃木から両親を招待していた試合で、今季初のヒーローインタビューを受け「たまたまヒーローになれて、(活躍を)見せられて良かったです」と喜んでいた。

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