最強布陣形成へ、侍監督の行脚が始まった。

侍ジャパン栗山英樹監督(61)が5日、巨人-ヤクルト戦(東京ドーム)を訪れ、プロの実戦視察をスタート。これまではアマを見てきたが、ここからは来春WBCの代表メンバー選考を念頭にプロの現場へ足を運ぶ。「各チームの監督さんに選手の状態をもう1回、確認させてもらう。現場に迷惑をかけないよう、ベストなチームをつくれるように」。

試合前の練習中、巨人原、ヤクルト高津両監督とじっくり話し込んだ。気になる選手の状態を聞いた。09年WBC優勝の原監督からは以前も話を聞いており「全てを経験されている。なるほどなあと」。選手のタイプをどう見るかなども尋ねた。世界一のチームづくりに必要なエッセンスを吸収している。

巨人坂本、ヤクルト山田、村上といった代表の顔ともグラウンドで言葉を交わした。ただ、代表コーチ陣と見た試合では、主要大会は未経験の“新顔”にも目を向けた。巨人吉川を「落ち着いていて、スピードがあり、打てる。セカンドに攻撃力がある選手がいるとチームが安定する」と評し、最後を締めた大勢には「新人でがむしゃらだけど、楽しみは間違いない」と期待を膨らませた。

世代交代を常々、口にする。「全体が過渡期に来ている。来年のWBC、誰が出るか分からないけど、そこで活躍する選手が、これから日本の野球の中心になる」と信念を口にした。【古川真弥】

○…東京五輪で金メダル獲得に貢献した巨人坂本は、栗山監督の前で史上9位タイとなる411本目の二塁打を放った。1回無死一、二塁、チェンジアップに体勢を崩されながらも食らいつき、三塁線を破る適時二塁打。この回チーム5連打目で、松井稼頭央(現西武ヘッドコーチ)の記録に並んだ。「追い込まれてから、うまく対応出来ました。良い流れに乗れてよかったです」と言った。

○…巨人の守護神大勢が、栗山監督の前でリーグ単独トップの24セーブ目を挙げた。3点リードの9回、1死一、二塁のピンチを招きながらも、長岡を153キロ直球で投ゴロ、代打浜田を141キロのスライダーで三ゴロに仕留めた。この日最速は155キロを記録し、5試合連続無失点とした。

○…巨人吉川は1番として2安打を放ち、守備でも好プレーを連発した。1回に右前打でチャンスメークすると、6回も1死一塁から右前打で好機を広げた。守備では5回1死から中前に抜けそうな打球に広い守備範囲で追いつき、俊足の山崎を刺した。6回無死一、二塁ではボテボテの二ゴロに前進し、一塁走者にタッチして併殺打とした。

○…巨人岡本和は同点に追い付いた直後の1回無死一、三塁から決勝の左前適時打を放った。3連打後の打席で「良い流れの中、打席に入ることが出来ました」と感謝。栗山監督は「本当に丁寧にここまで見てきましたし、ファースト、サードのポジションは大きいものが打てながら、チームの中心になっている選手が多いので。その辺はしっかりと最後まで見極めていきたいと思います」と評した。

【ニッカン式スコア】5日の巨人-ヤクルト戦詳細スコア