眠れる大砲が勝負の8月に、一気にお目覚めした。西武中村剛也内野手(38)が、6号サヨナラ弾を含む1試合2発。まさに“おかわり様”の大活躍で、オリックスに3連勝した。

2-2の9回1死走者なし。ワゲスパックの真ん中155キロ直球を完璧に捉えた。打球は中村らしく高々と放物線を描き、左中間席に飛び込んだ。スタンドの視線を独占。「サヨナラですよ? 試合がそこで終わって、めっちゃ見られる。一番恥ずかしい」。また、これも“らしい”。高揚感の中で、大歓声に照れながら、ダイヤモンドを1周した。

ホームにたどり着く直前でヘルメットを置く。仲間が囲むベースに飛び込んだ。祝福のウオーターシャワーは、涼しい夏夜に「ちょっと寒いです」。お立ち台に呼ばれ、また少し照れた。4回には先制5号2ラン。5月14日楽天戦以来、約2カ月半遠ざかっていたアーチを「おかわり」し、通算448号に到達。チーム全打点もたたき出した。

もがいていた。5月は4本塁打も、6月5日に右手親指を痛め、登録抹消。1軍に戻っても調子は上がらなかった。まだ打率は1割8分6厘。「本塁打も打てなかった。いい場面でも全然打てず、ファンの方に悲しい思いというか、むなしい思いをさせていた」。結果の出ない状況と向き合う中で、おろそかになっていた部分を見つけた。「下半身を使って打つ」。その基本に復活の糸口を見つけた。

1本出れば、せきを切るように打ち始めるのが中村。「この感覚を長く続けられるように。(復調の)きっかけにしないといけない」。中村が猛打を振るう夏。その期待は一気に高まってくる。それは獅子の勢いを加速させる大きな力にもなる。【上田悠太】

▼38歳11カ月の中村がサヨナラ弾。中村のサヨナラ本塁打は19年7月19日オリックス戦以来、通算5本目。西武で通算5本は、中西、清原に並んで球団最多となった。また、38歳11カ月でのサヨナラ弾は、今年5月29日DeNA戦でマークした栗山の38歳8カ月を更新する球団最年長。

▽西武辻監督(中村のサヨナラ弾について)「まさか、あのワゲスパックからね。本塁打を打つには球威もあるし、カットボールもいい。難しいかなと。でも本当に(中村の)集中力はすごい」

▽西武松本(先発で7回7安打2失点)「1人1人にしっかり腕を振って投げることができた結果。いいところで三振が取れた点はよかった。点を取られた5回は、同じテンポで投げ続けてしまった」

▽西武水上(9回を3者凡退に抑えて4勝目)「サヨナラにつなげてもらおうと思って投げた。昨日(3日)はちょっと危なかったので、抑えようと、思っていつも以上に気合を入れた」

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