天敵打ちだ。広島秋山翔吾外野手(34)が1カ月ぶりの5号先制3ランで4連勝に貢献した。中日先発柳にはバンテリンドームで6連敗と苦手にしていた。8月7日阪神戦以来の1発が打線の勢いを加速させ、同球場では20年11月1日以来となる柳相手の白星になった。

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力強く右足を踏み込み、内寄りに曲がってきたカットボールを捉えた。0-0の3回1死一、二塁だ。秋山は、体に近いボール球を見極めた直後の6球目にバット一閃(いっせん)。角度よく上がった打球は、そのまま右翼席最前列に吸い込まれた。8月7日阪神戦以来1カ月ぶりとなる5号3ランが4連勝への道を切り開いた。

「球の軌道はイメージしていました。でも、あまり手応えがない。もうちょっと手応え、(いい)内容も増えてくるといい」

試合の流れを大きく引き寄せた1発に、試合後は思わず苦笑いを浮かべた。1回1死三塁の好機では初球内角高めを打ち損じた。二邪飛の結果に「あそこで流れをつかめなかったのはショックが大きかった2打席目は、ファウルにさせられながら、何とかなく前に飛ばせる球の軌道をイメージする時間をつくれた」。状態が良くない中でも結果につなげるだけの技術と経験がある。

4日DeNA戦の最終打席で右ひざに死球を受けていた。この日も1回の打席に続き、3回の打席も初球、直前の5球目と体に近いボール球。それでも「体の外に当たったものに関しては怖さはない。痛みはありますけど、大けがにはならない。無事に試合に出られたし」と胸を張る精神力でも打線を引っ張っている。

佐々岡監督は「あの1発は大きかったと思います。まだまだ本調子ではないかもしれないですけど、要所要所で貢献してくれている」と信頼を寄せる。打線は4回途中までに7安打4得点で柳をマウンドから引きずり下ろした。バンテリンドームでは柳に試合前まで21年から6戦全敗。防御率0・77に抑えられていた。

天敵攻略を次戦につなげたい。「僕らは目の前の試合をやるだけなので。(試合に)出ている限り頑張りたい」。表情を引き締める秋山が最後まで打線のけん引役をまっとうする。【前原淳】

○…柳キラーの堂林が攻略の突破口を開いた。今季柳に対し、打率5割という好相性を買われ1番に起用された。1回に二塁打を放つと、3回は四球を選んで秋山の先制弾につなげた。4回も中前打と3打席連続出塁に「うーん、何ですかね。去年は全く打ってないので、何とも言えないです」と苦笑い。限られた出場機会の中で存在感を発揮。天敵の早期降板に貢献した。

○…中5日で先発した九里が7回途中2失点で6勝目を挙げた。4点リードの4回に2ランを浴びてチームの連続完封が途切れるも、その後は粘った。「ストライク先行で大胆に攻めることを心がけながら、本当に野手の方もしっかり守ってくださって、いいリズムで投げられることができたんじゃないかなと思います」。7回2死一塁でマウンドを譲るまで追加点を許さず、8月10日以来の白星を手にした。

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