ソフトバンクが西武との首位攻防3連戦初戦を制した。試合を決めたのは今宮健太内野手(31)だ。1点を追う3回の好機で、珍しく「カウント3-0」からスイングして逆転2点適時打を放った。選手会長の気迫がこもった一打で流れを引き寄せ、9月初のチーム2桁安打の攻撃で押し切った。

    ◇    ◇    ◇

今宮らしくない、そんなシーンが首位攻防の重要な一戦を動かした。1点ビハインドで迎えた3回1死二、三塁。カウントは3ボール。今宮は4球目を果敢にスイング。甘く入ったツーシームを逃さなかった。打球は遊撃の頭上を越えて、中前への2点適時打。気迫のこもった一打で逆転に成功した。

今宮がカウント3-0から安打を放ったのは16年以来、6年ぶりのことだ。それ以降はこの日の1本まで、同カウントから凡打を打ったことすらなかった。

この日のエンスは制球を乱していた。3回無死から2者連続で四球。今宮の「カウント3-0」の場面は相手左腕の乱調ぶりを考えても、1球見送るのがセオリーだ。冷静で、チーム打撃を得意とする今宮も、普段なら1球見ただろう。だがこの日は「正直、迷ったんですけど、ベンチを見たらいけいけ、という感じやったんで。腹をくくって、割り切っていきました」。0ゲーム差で並んで迎えた首位攻防戦という局面で、勝負どころを見極め、自身のプレースタイルにとらわれることなく、アグレッシブに決めにいった。

今季は故障や新型コロナ陽性での離脱が相次いだ。その中で今宮は、ここまでチーム最多タイの113試合に出場している。この日のV打に藤本監督は「今年に限っては3-0から待てのサインは出さないのでね。今までだったら、あまり3-0から打たない打者が思いきっていってくれた」とほめた。

試合前には3チームが0ゲーム差で並んでいたが、西武を破り、オリックスが負けたため、ソフトバンクが1差をつけて大混戦から1歩抜け出した。何度も優勝争いを経験してきた今宮でも「ガチガチですね」という、極限の戦いがまだまだ続く。【山本大地】

○…ドラフト2位ルーキー正木が、本拠地初本塁打を放った。4回先頭で、西武エンスのツーシームを右翼スタンドに流した。プロ3号ソロに「相手と勝負することだけを考えました。しっかりと自分のスイングをすることができたと思います」と笑顔。今季は先発出場時に打率2割9分5厘、3本塁打と奮闘しており「スタメン起用に結果で応えることができて良かったです」と結んだ。

▽ソフトバンク嘉弥真(6回2死三塁で火消し。23試合連続無失点)「6回のピンチの場面は、自分らしい投球ができたと思います。7回の先頭バッターはしっかりと抑えないといけない。あとを抑えてくれた、松本に感謝したい」

▽ソフトバンク川瀬(7回にダメ押しの2点適時打)「積極的にスイングを仕掛けていくことができた結果、うまくコンタクトすることができたと思います。大事な場面で結果で応えることができて良かったです」

▽ソフトバンク・デスパイネ(3回に2年連続2桁となる10号2ラン)「とにかく自分のスイングをすることだけを考えて打席に入った。いいスイングで完璧に捉えることができたよ。チームに勢いを付ける1本になったと思う」

▽ソフトバンク牧原大(3回に二塁打で初のシーズン100安打)「目の前の1試合1試合で自分の役割を果たすことを考えて臨み続けている。結果の積み重ねが、100安打というキャリアハイにつながったと思います」

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧