NTT西日本は今秋ドラフト候補の平良竜哉内野手(24=九州共立大)が2打席連続本塁打を放ち、10大会連続23回目の社会人日本選手権出場を決めた。両チーム無得点の3回2死走者なし。チェンジアップを完璧に仕留め、高い放物線を描き、ソロ本塁打が左翼席に吸い込まれた。5回は無死一塁で内角速球を強振。2打席連発の2ランを左翼に放り込んだ。チームの全得点を挙げた。

「センターから逆方向を意識して打席に入った。しっかり自分のポイントで振ることを心掛けました」

河本泰浩監督(39)は試合前に暗示をかけた。「今日はお前の日だ。思い切って楽しんでやってこい」。ここまで低調だった。気負いを吹っ切って完璧な2発。指揮官も「フルスイングが持ち味。内角もさばける。1発があるのが魅力だし、みんなから愛されている」と厚い信頼を口にした。

「琉球のアルテューベ」と称されるプレースタイルが魅力だ。170センチと小柄だが、フルスイングに徹する。平良は言う。「身長は僕よりも小さくて世界最高峰のプレーヤーでやっている。同じタイプとして、めちゃくちゃ刺激を受ける。僕のなかの憧れ」。大リーグ・アストロズのホセ・アルテューベ内野手(32)は身長167センチだが、今季も24本塁打を誇る。通算188本塁打で生涯打率は3割6厘。同じ二塁手のスーパースターの背中を追う。

この日はプロの複数球団が見守った。ヤクルト橿渕スカウトグループデスクは「内野手で希少性が高い。1発で仕留める能力があるし、リストの強さもある。楽しみな、いい選手」と評した。昨年までの同僚で、昨秋ドラフト4位でソフトバンクに加入し、今季10本塁打の野村勇内野手(25)と比較しても、遜色のないミート力も持つとの見方もある。平良は言う。「小さい頃からの目標はプロ野球選手。大学の時も挑戦してかからず、悔しい思いをした」。今年のドラフト市場は有力な内野手がそろうなか、強烈な存在感を示した。【酒井俊作】