中日の福留孝介外野手(45)が巨人戦(バンテリンドーム)で現役最後の試合を終えた。引退選手特例で昇格し、9回に右翼の守備から出場。その裏は1死走者なしで日米通算1万245打席目を迎え、二飛に倒れた。99年に中日でプロキャリアを始め、日米通算24年目。45歳は現役最年長だった。愛着のあるユニホームに身を包み、慣れ親しんだスタジアムで別れを告げた。

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拍手と声援が上がった。8回途中から一塁側ファウルゾーンでキャッチボールを開始。9回表に右翼の守りから出場した。帽子を取って観客席にあいさつすると、拍手が送られた。守備機会はなく、その裏1死走者なしで打席が回った。「9番ライト、福留孝介」。巨人ファンも含めた3万5669人のボルテージが上がった。

日米通算1万245打席目。巨人4番手鍬原の1ボールからの2球目、149キロの直球に詰まった。二飛。一塁を踏んでベンチに戻る際にヘルメットをスタンドに掲げた。「優勝だったり、いろんなことを経験させていただいた。24年間も長い間もここから始まり。楽しかった思いが強い」。PL学園から日本生命を経て、98年ドラフト1位で中日入り。99年の開幕スタメンで始まったプロ生活は、メジャー、阪神を経て24年に及んだ。20年オフに8年間在籍した阪神を戦力外になり、古巣中日に移籍。「あきらめきれなくて野球がやりたい中で、中日から手を差し伸べていただいた。中日のユニホームで野球をやらせてもらい野球人生を終わらせていただいて感謝している」。プロ1年目と同じユニホームで現役を終え、目は少し潤んでいた。

引退選手特例で出場選手登録され、試合前のシートノックから一挙手一投足にファンからの拍手を浴びた。試合前の声出しも務めた。始球式では長女がマウンドに上がり、自らは捕手を務め、長男が打席に立った。8日の会見で、今季限りでの引退を家族に報告した際の様子を明かしていた。「号泣とまではいかなかった。泣きもしなかった。ウチの家族らしく笑顔で『お疲れさま』と言ってくれた。ホッとはした。普通の父親に戻れる部分かなと思う」。父と子による思い出の1打席を終えると、笑顔で2人の肩を抱き、記念写真に納まった。

「これだけ、好きな野球をやらせていただいて、好きなように生きてきて楽しかった」。福留は愛するスタジアムで過ごした1日をかみしめた。【伊東大介】

▽中日ビシエド(福留ラストゲームで13号ソロ)「福留さんは素晴らしい野球人生を送ってきたと思う。米国で同じチームでやれたこと、日本で同じチームでできたことはとても光栄。長い期間にわたり活躍し、すごい記録を出し、記憶にも残る結果も出し、素晴らしい選手です。その最後の試合で本塁打を打てたことは良かった。尊敬できる素晴らしい選手でした。お疲れさまでした」

▽中日岡林(福留引退試合で3安打)「たくさんのことを学ばしてもらい、きょう、こういう結果を見せることができたことはよかったと思いますし、これからも継続して頑張りたい」

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