阪神湯浅京己投手(23)が、最優秀中継ぎ賞を手にした。本職の8回ではなく、両軍無得点の4回から2番手で登板。松本友、キブレハンから宝刀フォークで連続三振を奪うなど1回をゼロ封。28試合連続無失点で、中日ロドリゲスに並ぶ45ホールドポイント目をゲット。球団では17年の桑原謙太朗とマテオ以来5年ぶり延べ9人目で、独立リーグ出身の投手では史上初のタイトル獲得となった。

「自分1人の力じゃ積み上げられなかった数字なので、感謝したいです」

揺るぎない「自信」が、右腕の快投の支えとなった。「お前のボールは絶対1軍で通用する」。昨季プロ2戦目の6月5日ソフトバンク戦で打ち込まれ、2軍降格が決まった際に矢野監督からかけられた言葉だ。「ずっと心の中に残っていますし、自信につながってます」。3月29日の広島戦で9回にサヨナラ打を浴びた時も「自分の力を出せば抑えられる」と励まされ、すぐに気持ちを切り替えられた。悲願のタイトル獲得は、確固たる自信を植え付けてもらった矢野監督への恩返しとなった。

昨季まで1軍戦通算3試合だった右腕を、4月上旬からセットアッパーとして起用した指揮官は「ここまで持ってきたことがすごいこと。よく(タイトルを)取ってくれたと思います」とねぎらった。チーム最多の59試合に登板し、防御率1・09と圧倒的な数字を残した右腕は「日本シリーズでもう1回甲子園でできるように、1試合、1試合大切にして、みんなで力合わせて勝っていきたい」と、タイトルの余韻に浸ることなく、頂点を見据えた。【古財稜明】

○…岩貞が登場曲に1日に心不全のため亡くなったアントニオ猪木さんのテーマ曲「炎のファイター~INOKI BOM-BA-YE~」を使用した。満員の甲子園に、音楽に合わせて手拍子が鳴り響いた。1点リードの7回に5番手で登板。丸山和、宮本をスライダーで連続の空振り三振に斬るなど、1回を無失点。今季は自己最多の53試合を投げ、2勝1敗、11ホールド。中堅組としてリリーフ陣をけん引した。

○…才木が今季初めて中継ぎで登板し、3回無失点と好投した。同点の延長10回から登場し、1死から3連打を浴び満塁のピンチを招くも、後続を断った。11、12回は難なく抑え、引き分けに持ち込んだ。登板前からこの場面を「イメージしていた」という右腕は「絶対に1点もやれない場面で投げさせてもらうのは、なかなかレアな経験をさせてもらいました」。ベンチ入りのラスト26人目として出場。最後のとりでとして、大役を果たした。

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