球団創設以来34年務めたオーナー職を今季で退くオリックス宮内義彦オーナー(87=オリックス本社シニア・チェアマン)も宙に舞った。都内から駆けつけ、歓喜の瞬間に立ち会った。「やっぱり野球は筋書きのないドラマ。あり得るとは思ったけど現実になって驚いている。幸せ過ぎるなと」。興奮で声が震えた。

「オリックス」への社名変更と同時に阪急を買収。社名を売るための買収と言われ「何年で球団を手放すか」とささやかれた。本心は違った。財界きっての野球フリーク。関係者によると、優勝ができない時期も「身売り」の話は一切出なかったという。7年目の95年から2連覇を果たすと、一層、球団の強化に力を入れるようになった。

近年は基本的にチーム編成には口を出さず、一線を引いていた。本業でも同じ。14年に本社CEOを退任し、経営者としては引退。その後、都内本社ビルにあった自らの部屋を別のビルに移した。経営陣が仕事をしやすいようにとの配慮だった。来季のオーナーにはオリックス本社の井上亮(まこと)グループCEO(70)が内定している。

宮内氏は「雨男」で知られる。宮古島キャンプを視察すれば雨が降り、神戸に観戦に訪れれば雨で流れた。この日は星も見える夜空に向かって5度胴上げされた。最良の日となった。「買収した阪急は強いチームだったけど、オリックスは弱い時期が長かった。すぐに強くするのは難しい。今のチームはじわじわと上がったところ。これから安心していけるチームになるのかな。みんなの勝利です」。ホッとしたような表情だった。【柏原誠】

◆宮内義彦(みやうち・よしひこ)1935年(昭10)9月13日生まれ、兵庫県出身。関学大卒。ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿実業(現双日)を経て1964年(昭39)にオリエント・リース(現オリックス)入社。80年に代表取締役社長。88年、阪急買収に伴いオリックス球団のオーナーに就任。00年会長兼グループ最高経営責任者(CEO)、14年からシニア・チェアマン。87歳は12球団オーナー最高齢。就任33年目の今年1月、今季限りでオーナー職を退くことを発表した。

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