未使用のプロ野球公式試合球が、日本野球機構(NPB)審判員によって持ち出された疑いがあることが3日、分かった。今年6月に中日の本拠地バンテリンドーム(名古屋市)で行われた公式戦で使用されるはずの試合球が、未使用のままインターネットのオークションサイトに出品。ファンからの球団への問い合わせで発覚し、中日球団が確認の上、愛知県警へ被害届を提出していた。

関係者によると、当該試合を担当した審判員のうち1人の自宅を県警が2日、家宅捜索。窃盗の疑いで、関与の有無や出品までの経緯を調べているとみられる。中日球団関係者は「これまで経験したことがない。ウチが購入して用意した公式球。それが未使用のまま出品されていたので、警察に届けを出した」と現状を説明した。

中日では主催試合の公式球をミズノ社から購入。NPBの刻印とともに、試合開催日、対戦カードを印字した球を毎試合8ダース96球用意する。予備球として1カード3試合想定で6ダースほどのカード無刻印の公認球も用意して、試合日は審判団が球を管理する。1球1球が袋に封入されていて、審判が使用球を開封。手でもみ込むなど試合に備えるという。

球団職員によると「1試合で刻印のある8ダースはなくなり、試合終盤は予備球が使われている。試合日が刻印された試合球が残っていることはほとんどない」。6月の試合で使用予定だった試合球が、球場から持ち出された可能性があると判明した。

NPB井原事務局長はこの日、「本件の詳細な内容については現時点で把握できておりません。警察当局からご依頼があれば、捜査に全面的に協力してまいります。捜査に支障のない範囲で関係者から聴取して、事実、経緯等を把握して必要な対応を取る方針です」とコメントを発表。4日にもNPBからさらに事実関係が明らかにされそうだ。