ソフトバンクは12日、日本ハムから海外フリーエージェント(FA)権を行使した近藤健介外野手(29)を獲得したと発表した。7年総額約50億円の超大型契約で、オリックス、ロッテ、西武、日本ハムによる5球団の争奪戦を制した。

背番号は「3」に決定。14日に入団会見を行う。FA戦線では、DeNAから嶺井博希捕手(31)を獲得するなど9年ぶりのダブル獲りに成功。3年ぶりV奪回へ本気の大補強を実らせた。

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会心の近藤獲得に、オンラインで取材対応した三笠取締役GMの声も弾んだ。「彼に期待するところはすごくたくさんあります。来年優勝を奪回して、日本一になるところにおいて、来てくれたら重要なピースになると期待しています」。7年総額約50億円の超大型契約で誠意を示し、日本ハムをはじめオリックス、ロッテ、西武によるパ5球団の大争奪戦を制した。

熱意が実った。交渉解禁日の11月11日に即日アタック。同21日には、藤本監督に加え、近藤と親交が深い長谷川1軍打撃コーチも交渉の席についた。複数回の交渉で、条件も当初の4年総額20億円から大幅に上方修正。背番号はかつての3冠王・松中信彦が背負った「3」を用意するなど熱烈なラブコールでハートを射止めた。

近藤は今季は脇腹の故障などもあり99試合の出場にとどまったが、打率3割2厘をマーク。通算でも生涯打率3割7厘、出塁率4割1分3厘と高い水準の成績を残し続けている。三笠GMは「パワーやスピードのある選手はいるが、彼のような出塁率が高く、大事な場面でしつこくヒットを打てる、日本を代表するアベレージヒッターが加われば、相手にとっても嫌な破壊力のある打線になる」とにんまり。チームにいないタイプの好打者の加入で、超強力打線が形成できる。

交渉で近藤の人柄に触れた三笠GMは「野球への取り組み方、考え方は後輩はもちろん、年上の選手も刺激を受けるくらい、そのような力を持った選手」とも評価。チームに与える有形無形の相乗効果にも期待を寄せた。

今オフはDeNAから国内FA権を行使した嶺井の獲得にも成功。さらにロッテを自由契約になったオスナ、阪神退団のガンケルも獲得が決定的だ。本気度を示す4大補強で、3年ぶりのリーグ優勝と日本一を奪回する。【山本大地】

◆近藤健介(こんどう・けんすけ)1993年(平5)8月9日生まれ、千葉県出身。横浜から11年ドラフト4位で日本ハム入団。12年には日本シリーズに、球団初の高卒新人野手として出場。17年に規定打席不足ながら記録した打率4割1分3厘は、100打席以上の選手では球界最高。19、20年には最高出塁率のタイトルを獲得。18、20、21年ベストナイン。171センチ、86キロ。右投げ左打ち。

◆ソフトバンクの外野手争い 藤本監督は「全ポジション白紙」と話しているが、右翼の柳田、中堅の定位置を狙う牧原大がリード。近藤は左翼が中心になるとみられる。柳田、近藤は故障歴もあり、慎重を期してDHとの併用になりそうだ。他に来季2年目の正木や、今季ブレークした柳町、アキレス腱(けん)断裂から再起を期す上林らがおり、内野手登録の周東や野村勇も、起用の可能性がある。テスト入団が決定的な右の大砲候補コートニー・ホーキンス外野手(29=米独立リーグ)や、ドラフト3位で甲斐生海外野手(22=東北福祉大)も加入。レギュラー最有力の柳田、近藤、牧原大を中心に激しいバトルが展開されそうだ。

◆同一年のFAで2人以上獲得 20年巨人以来18度目。巨人の10度が最多で、ソフトバンクは94年工藤と石毛、10年細川と内川、13年中田と鶴岡に次いで4度目。これまでソフトバンクが2人獲得した時の翌年順位は95年5位、11年優勝、14年優勝。11年は内川が首位打者、14年は中田がチーム最多タイの11勝を挙げるなど、FA移籍の選手が活躍して優勝した。

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