プロ野球選手の「男飯」って、どんな感じなんですか? ファンからの疑問に、DeNAのエース今永昇太投手(29)が、このオフに実演を快諾し、後輩の京山将弥投手(24)を「おもてなし」。ウエートトレーニングを終え、「今永家」(撮影場所)を訪れた京山に手料理を振る舞った。料理をしながら、“今永ワールド”全開の爆笑トークも展開。エプロン姿で包丁を手にし、作った料理とは。【取材・構成=久保賢吾】
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今永は花柄のエプロンを着け、ウエートトレーニングを終えた後輩の京山が到着するのを待った。インターホンが鳴り、「失礼します」と部屋に入る京山を「いらっしゃい」と笑顔で出迎えた。
今永 今日は手羽元と卵の甘辛煮を作ります。鶏と卵なのでタンパク質が取れるし、タンパク質は体づくりには大事なんで。
まず始めに、ゆで卵の準備をした後、テーブルに置かれたチンゲンサイ、ショウガ、ニンニクを包丁で適度な大きさに切った。手際良く、材料を鍋に入れ「あとは調味料を入れていくだけです」と手にした。
今永 僕は調味料は一切、量りません。感覚で生きております。
しょうゆ、料理酒、酢、みりん、砂糖を左手に持ち、スプーンの場合は「大さじ何杯」とつぶやきながら「だいたい、これくらいですね」とテンポ良く鍋に注ぎ込む。「僕の左手の感覚に委ねて。(中身の)減り具合で僕はやってます」とニヤリと笑った。
煮込む間も「今永の流儀」を貫いた。鍋の中を少しのぞき込むことはあっても、混ぜたり、場所を変えることはなかった。「動かさないと不安になったりしちゃうと思うんですけど、“プロ”は動かさないです。動かすと味が変わっちゃうので。動かしたとしても、くるっと回すくらいですね」と力説した。
約20分ほど煮込む間、京山と「黒ひげ危機一髪ゲーム」を楽しみながら、待ち時間も堪能。味見にも独特の考えを示した。「甘えが出るので、味見はしないです。一発勝負です。料理に練習はないんで。食事は全て本番です。修正がないように僕はやってるので。子育てに忙しいお母さんが修正する時間があるかと言えば、ないと思うのでね。誰、オレ?」と笑った。
鍋の中からグツグツと音が立ち、食欲をそそる香りが部屋を包んだ。京山をテーブルに呼び、丁寧に皿に盛り付けた。「いただきま~す」。2人で声をそろえながら、実食した。
京山 おいしいです。味、染み込んでますね。
今永 うん、おいしいですね、非常に。
京山から絶賛され、自画自賛しながら、自己採点は「98点」をつけた。
今永 完璧な味付けですね、これは。塩辛くもなく、甘過ぎず。
京山 ほぼ、完璧じゃないですか。
100点満点に足りなかった2点分を聞かれ、今永は「深みですかね」と真顔? で返答した。
今永 どうだった? トレーニング後のタンパク質たっぷりの僕の食事は?
京山 ちょっと最初は不安やったんですけど、一口入れた瞬間から、これはおいしいなと。
今永 おっ、細胞が呼応した?
京山 はい、反応しました。ごちそうさまでした。
鍋に残った汁を有効活用し、締めに茶わん蒸しも用意。「投げる哲学者」とも言われ、昨季は日本ハム戦でノーヒットノーランを達成した「失敗しない男」は、マウンドでも台所でも完璧だった。
◆DeNA今永の料理「鶏の手羽元と卵の甘辛煮」の材料 鶏の手羽元、卵、ちんげんさい、にんにく、しょうが、料理酒、みりん、砂糖、水、しょうゆ、酢