大悟アニキのエールを力に変える。日本ハム育成ドラフト4位、山本晃大投手(23=BC信濃)が2軍キャンプからの下克上を誓った。

新人合同自主トレ中の千葉・鎌ケ谷に25日、船が銚子に入港していた遠洋漁業漁師の兄大悟さん(25)が急きょ応援に訪れた。お笑いコンビ千鳥の大悟(本名・山本大悟)と同姓同名の兄とは異なる道に進むも、球界での白星“大漁”を見据え、故郷特産の伊勢エビのごとく、跳ね上がる。

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大寒波にもめげず、山本が熱投した。捕手を座らせ、新人合同自主トレでは自身最多の40球。「コントロールもまとまっていたのでいいんじゃないかと。まだまだ出力、馬力が出る」。この日の千葉・鎌ケ谷の最高気温は2度と冷え込んだ。強烈な寒風吹きすさぶ中での練習も「(高校、独立リーグで過ごした)長野の方が寒い」と、平然と言いのけた。

サプライズ訪問も力になった。練習中にはマグロやサバを追い遠洋漁業に出ていた兄大悟さん(25)が突然、鎌ケ谷を訪れた。漁船が銚子に入港しており、たまたま天候不良で漁に出られなかったため時間ができた。普段は正月と盆にしか会えない兄との対面。「『とにかく頑張れ』と。僕は船酔いするので漁師になりたくなくて野球を頑張った。兄は海で僕は陸で頑張る。次は北海道に寄港しているときに新球場で活躍したい」と思い描いた。

沖縄春季キャンプは2軍スタート。ドラフト指名順位も球団最下位の育成4位だが、結果を出して見返せばいい。同じ左腕で関学大の先輩でもあるあこがれの宮西も2軍スタート。「左で共通する考えとかあると思う。打ち取り方とかを聞いてみたい。連続50試合登板も1年間死ぬ気でやっているからこその結果。精神的なところも聞けたら」。一緒に練習する中で技術からタフな心意気まで、目いっぱい吸収する。

故郷の三重・南伊勢でも高校、独立リーグを過ごした長野でも、大学時代の関西、現在過ごす鎌ケ谷でも、就寝時に枕を用いない。「小学生のころから。フラットな状態で寝たい。遠征先のホテルでも全部とっぱらう。なので僕、どこでも寝られます」。たくさん動いてしっかり休む。兄含め漁師の知り合いが多く「正月にはたくさん出る」という伊勢エビエネルギーを“ノー枕睡眠”で効果的に蓄え、1軍へのジャンプアップを狙う。【永野高輔】

◆山本晃大(やまもと・こうだい)1999年(平11)4月23日生まれ、三重県出身。南伊勢宿田曽小1年から野球を始める。佐久長聖では2年夏に甲子園出場もベンチ外。関学大では4年時に全日本大学選手権ベスト8入りに貢献。昨季入団の独立リーグBC信濃では先発で9勝をマーク。昨年の育成ドラフト4位で日本ハム入団。最速148キロ。186センチ、88キロ。左投げ左打ち。

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