新井カープが総力で、阪神の連勝を7で止めた。

阪神青柳対策に、投手の玉村含めて球団史上初の9人全員左打者オーダーを編成。立ち上がりに5安打で一挙5点を奪って虎のエースを攻略し、最後はベテラン松山の決勝打で勝ちきった。「全員の頑張った勝利だと思う。チーム一丸となっていい勝ち方だったと思います」。新井監督の声が誇らかに響いた。

初回、打線を勢いづけたのは17日に支配下登録されたばかりの中村貴だった。「1番右翼」で先発し、初回の初打席で青柳の初球を捉えて左翼ポール際への大飛球に。左翼ノイジーの好守にスタンドインを阻まれ、左飛に終わるも「いい感じで打てた」と本人には自信に、味方打線にははずみになった。

怒濤(どとう)の攻撃だった。4番松山が中前へ先制打。坂倉も2点目の適時打で続き、さらに2年ぶりに1軍の打席に立った林が3点目の適時打を右前に運んだ。この回、一挙5得点。5回には5点差を追いつかれたが、6回に松山の左前適時打で勝ち越し。37歳のベテランは「本当に粘り強く、カープの野球ができたと思います」と胸を張った。6回以降は継投で阪神の反撃を抑えきった。

G7広島サミットで来日中の英スナク首相が前日18日に岸田首相と会談し、カープのロゴ入りの靴下を披露。エールも送ってくれた。英国首相にも見てもらいたい、カープ一丸の勝利だった。【堀まどか】

◆スタメン全員左打ち 巨人原監督が20年9月16日、阪神青柳対策として球団史上初めてスタメンに全員左打者を並べた(両打ちの若林を含む)。12年7月7日には楽天星野監督が西武牧田の対策で9人全員左打者に(両打ちの松井を含む)。大リーグでは筒香らのレイズが20年9月11日レッドソックス戦で、1901年以降初めて両打ちを含まない9人全員左打者を起用した。広島は佐々岡監督の21年6月3日、日本ハム金子を相手に左打者9人を並べたが4回表途中でノーゲーム。成立した試合では今回が球団史上初めてだ。