2位ソフトバンクが今季6度目の完封負けを喫した。この日は王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーの83歳の誕生日。15年以来8年ぶりのバースデー星を届けることができず、5月20日は17、18、21、22年に続き5連敗となった。

藤本博史監督(59)が大きく首をかしげたのは、0-0の7回だ。先頭の栗原が左前打で出塁。続く野村大はバントの構えもヒッティングに切り替え、初球で二塁併殺に倒れた。指揮官によると、野村大はバントのサインを誤認識しスイング。「ああいう場面でああいうことをしてたらダメですよね。しっかりとね。接戦のところでああいうサインミスは困ります」。1点を争うゲームだっただけに、ボーンヘッドに怒り口調だった。

0-1の最終回には、2死一、三塁の好機で代打アストゥディーヨが初球で二飛。西武の守護神・増田を攻め立てたが、最後に球場に響いたのはため息だった。「点が取れなかったら勝てないということ」。藤本監督もガックリだ。

試合前には異例の光景があった。藤本監督と森ヘッドコーチが、西武の打撃練習を自軍ベンチから見学。過去5試合で9本塁打を許していた打線を、現場のトップ2人が食事時間を削って対策を練った。

結果的に投手陣は1失点と踏ん張っただけに、無得点はもったいなかった。かつて9連敗を喫した天敵高橋にも6回無失点と抑え込まれ、連勝は2でストップした。この日は「ピンクフルデー2023」でペイペイドームはピンク一色に染まったが、指揮官は拙攻打線に青ざめていた。首位ロッテとは2・5ゲーム差。3位オリックスがゲーム差なしで迫る。指揮官は最後に「切り替えていきましょう」とひと言。3戦目を取り、カード勝ち越しを狙う。【只松憲】

▽ソフトバンク野村大(7回の併殺打に)「僕がサインを見間違えました。バスターエンドランだと思ってしまいました。反省して切り替えるしかない。試合は毎日あるので次は頑張ります」

○…栗原が今季3度目の3安打猛打賞で気を吐いた。5回先頭で西武高橋から中前打を放ち、7回には左前打。0-1の9回2死一塁では右前打と全方向へと単打を打ち分けた。守っては、7回2死一塁に長谷川の打球に横っ跳び。ダイビング捕球で先発東浜をもり立てた。「3本出たことは良かったですけど、(打撃の)状態は良くないです」と満足はしなかった。