新庄剛志監督(51)率いる日本ハムが、初夏の猛チャージで5月リーグ最速の10勝に到達した。3位オリックス戦に完勝し、今季初の4連勝。直近2試合で精彩を欠いて途中交代していた1番野村佑希内野手(22)が2回に先制2点適時二塁打を放って勝利に貢献した。投打の歯車がかみあい、最大9あった借金も3まで返済。今月6位からスタートした順位は5位、4位と上げ、就任2年目の新庄監督にとって初の3位浮上(開幕カードを除く)まで3ゲーム差となった。

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日本ハムが強い。この日も序盤で奪った主導権を渡さず、勝ちきった。新庄監督は「そんなに出場機会がない選手たちが、最近はことごとく結果を出してくれる。うれしいっすね~」とチーム内競争をあおりながら会心の4連勝。5月はリーグ最速の10勝目だ。月間失策数は16個でリーグワーストだが、それでも勝てる理由は2回に決勝打を放った野村が説明した。

野村 みんなで、いろんなミスを助け合いながらカバーしあって、いいムードで戦えているなと思う。

野村は直近2試合でカバーしてもらった側だった。

18日西武戦では守備のミスで途中交代すると、代わりに守備に就いた谷内が決勝打。19日オリックス戦では3打席凡退後に「打席で迷いがある」(新庄監督)と交代を告げられた。自身に代わって出場したアルカンタラが決勝点につながるバント安打。今度は自分が-。2回の決勝打は、9番細川の犠打失敗の直後に生まれた。「いつも僕は先輩に助けてもらっている。チームとしてやっている部分をなんとか取り返そうと、逆に開き直って入れた」。原理原則の競争意識もベースに、誰かが失敗しても、誰かが取り返す好循環。その積み重ねができていることが、好調の要因の1つだ。

投手陣も月間防御率1・68と驚異の安定感で、野手陣との歯車が、がっちりとかみあう。野村は昨季との違いについて「ボス(新庄監督)が勝ちにいっている」と即答でニヤリとした。

昨季は経験値を与えた選手たちに、今季は勝ち続ける楽しさを植え付けている新庄監督は「(選手の)使い方がいいんです」とドヤ顔した後に、真面目な口調で「最近はね、采配が当たってますけど、これが当たらない時に今度は選手に助けてもらいます」と言った。チームの覚醒間近への手応えと、本物の強さを宿らせる自信が、その言葉ににじんだ。【木下大輔】

 

○…中島が史上79人目の通算200盗塁へ王手をかけた。今季2度目の先発出場。6回2死三塁から右前適時打で5点目をたたき出すと、すかさず今季初盗塁となる二盗を決めた。「塁に出てチャンスが来たら走ろうと思っていた。タイミングを計って行けた」。15年盗塁王は、節目へ「今まで積み重ねてきた盗塁なので早く決めたい」と意気込んだ。

 

○…この日の勝利で、新庄監督プロデュースの赤黒の襟付き限定ユニホームでの成績は5勝2敗となった。計8試合予定で21日が最後。「6勝2敗なら、もう1度着たい」と話していた指揮官は「いやいや、このユニホームをデザインさせてもらっただけで一生の思い出になったので。オレが勝手に言っただけで球団からOKは出てないから」と苦笑いも“継続ノルマ”達成まで、あと1勝に迫った。