アレのために、先発はナンボでも準備しとくよ。阪神岡田彰布監督(65)が22日、東上前の新大阪駅で取材に応じ、リリーフのジェレミー・ビーズリー投手(27)を先発に転向させる考えを明かした。「先発さすねん。先発はようけおってもええからな」。ビーズリーはこの日出場選手登録を抹消。今後2軍で先発調整を行って実戦登板に臨み、先発適性があると判断すれば、第7、第8の男としてスタンバイさせる方針だ。

百戦錬磨の岡田監督らしく、先の先を見据えた“夏場の大作戦”といったところか。チームは首位を快走するが先発陣は青柳が不調で降格し、西純の救援配置転換などまだ盤石とは言いがたい。絶好調の村上と大竹も1年を通して働いた経験がなく、バテがくるかもしれない。指揮官は夏場の先発陣の頭数の必要性を過去8年の監督生活で身をもって体験しており、2軍で先発調整させている富田に続く二の矢を放った形だ。

新加入したビーズリーは、分厚い中継ぎ陣に押し出される形で、余剰戦力的な敗戦処理の役割が多く、先発適性を試せるぜいたくなチーム事情もある。マイナーでは18年と19年に先発を経験。かつて先発転向でエースにまで上り詰めたメッセンジャーの再来となれば、とんだ掘り出し物だ。プラスはあってもマイナスはない、岡田監督の計算が見え隠れする。【松井清員】