プロ10年目のDeNA平良拳太郎投手(27)が、自身5度目の東京ドーム登板で古巣の本拠地で初勝利を挙げた。2年前、トミー・ジョン手術を受けた右肘の違和感を覚えたのもこの地で、1回に巨人丸の痛烈な打球が右腕に直撃したが、続投を志願。かつてのチームメートだった坂本、岡本和ら巨人打線を相手に手術後最長の7回を4安打無失点に抑えた。チームは引き分けを挟み4連勝で、首位阪神を2差で追走する。

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巨人のファン感謝デーで新入団選手としてファンの前に登場し、夢に見たあの日から3468日。DeNA平良が、古巣の本拠地東京ドームで初勝利を挙げた。プロ10年目、巨人時代を含む5試合目の登板。DB・スターマンを背に、三塁側のベンチ前で受けたヒーローインタビューで、待ちに待った瞬間をかみしめた。

「10年前に入団した時にここで勝つことがまず目標だったので、チームは違いますが、ここで1勝目を挙げられて、本当にうれしい気持ちです」

巨人にFA移籍した山口俊の人的補償で17年にDeNAに移籍した。巨人在籍3年間で東京ドームでの登板は初登板の1試合。2年前の6月に右肘のトミー・ジョン手術を受けたが、患部の違和感を覚えたのも同年3月28日の巨人戦だった。「初登板やライトゴロ、肘を壊したこと、いろんな思い出がある」。ほろ苦く、プロの洗礼も浴びた地での1勝は格別だった。

苦しみながら、はい上がった野球人生を示すような登板だった。1回1死、丸の強烈なライナーが右腕を直撃。1度ベンチに引き揚げたが、ブルペンで試投後、続投を志願した。「当たってから、ブルペンで投げた時に今日一番の球がいったので」とジョークを交えながら「痛みはなかったし、いい力加減で投げられた」と笑った。

坂本、岡本和ら、かつてのチームメートを相手に持ち味の高低、両コーナーを有効に使った投球で、手術後最長となる7回を4安打無失点に抑えた。「うれしいですし、移籍する時にも言いましたけど、ここでいい投球をすることがベイスターズにも、ジャイアンツにも恩返しになる」。チームは引き分けを挟み4連勝で、首位阪神を2差で追走。平良の恩返しは、これからも続く。【久保賢吾】

▽DeNA三浦監督(7回無失点と好投した平良に)「打球が当たりましたけど、逆にその後の方がかえって力が抜けて良かったかなっていう感じでナイスピッチングでした」

◆平良拳太郎(たいら・けんたろう)1995年(平7)7月12日、沖縄県生まれ。沖縄・北山から13年ドラフト5位で巨人入り。16年4月7日阪神戦でプロ初登板。同年オフ、山口俊のFA移籍に伴う人的補償でDeNAに移籍。17年5月10日中日戦でプロ初勝利。21年6月にトミー・ジョン手術を受け、22年8月に実戦復帰した。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2000万円。