技ありの1発で口火を切った。広島西川龍馬外野手(28)は1回無死一塁、中日涌井の浮いたシンカーを鋭く振り抜いた。

右翼ポール方向に向かって角度よく上がった白球は、ファウルになることなく右翼席上段に吸い込まれた。この回一挙5得点の猛攻を呼び込む大きな先制弾となった。

冷静な状況判断が、豪快弾を生んだ。相手は通算155勝右腕。1回無死一塁で一、二塁間は空いた状況にも「今日に関しては、引っ張りに行ったら(相手の)思うつぼなんで。なるべく我慢して。たまたまシンカーが浮いてきて、反応できた」。反対方向への意識があったからこそ、ファウルにならずフェアゾーンに運ぶことができた。

開幕から23試合続けて5番に固定されていたが、チーム事情から2番での起用も増えてきた。ただ、プロで1番から9番まですべての打順での経験がある。状況に応じた打撃ができるからこそ、どんな打順にも適応できる。下位には林や中村貴ら若手が並ぶ打線。2試合続けて任された2番で大きな仕事をした。新井監督も「状況に応じた打撃ができる選手なので、そういった中で自分が狙った球を最高の形で仕留めてくれました。本当にナイスホームランでした」とたたえた。

連敗を3で止めて勝率5割復帰も、チームは勝率5割を行ったり来たりの戦いが続く。西川らが「キャプテン」と呼ぶリーダー野間は右ふくらはぎ裏張りで離脱中。本拠地試合後、野間が担当した一塁側スタンドへのあいさつの号令役を務める。この日は4月27日中日戦以来となる本拠地勝利を地元ファンに届けることができた。今季はバットと背中で、チームを引っ張っていく。【前原淳】

【関連記事】広島ニュース一覧