日本ハムの上沢直之投手(29)が、NPB史上364人目の通算1000投球回を達成した。試合前の段階で残り5回2/3。6回先頭で同期のソフトバンク近藤に中前打を浴びるも、後続を断ち、節目の数字に到達した。7回119球を投げ、5安打2失点と粘りの投球を見せたが、リーグトップに並ぶ5勝目は奪えず、今季3敗目を喫した。チームも3連敗となったが、5位西武が敗れたため、辛うじて4位を死守した。

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敗れはしたが、上沢が堂々と自らの役割をまっとうした。初回に先制点をもらった直後に逆転弾を許す納得いかないやられ方。「先制点を取ってもらった後の点の取られ方が悪かった。流れを持ってくることができなかった」と、まずは反省の弁を口にした。

要所で踏ん張った。3回1死一塁では、本塁打リーグトップタイ8本の柳田をカーブで併殺に打ち取り、5回2死三塁のピンチでは周東をチェンジアップで二ゴロに。1000イニング到達の節目のかかった6回には日本ハムに同期入団の先頭打者近藤に中前打を浴び無死一塁とされたが「あのあとは良かった」。スイッチを入れなおし柳田をフォーク、柳町をカーブで連続三振に切って取り、1000イニングの大台に乗せた。

12年目で大きな節目に到達した。19年6月18日のDeNA戦(横浜)で左膝に打球が直撃。左膝膝蓋(しつがい)骨骨折の大けがを負い長期離脱した。20年に復帰も昨年7月には右足中指を骨折。すんなりここまで来られたわけではない。「364人しかできないことを達成できるとは。入団時は想像もしなかった。よくここまで来られたと」。つまずき遠回りしながら、新たな枝葉をつけ、大きく成長していった。

家族の支えも力になった。5年ぶりの完封勝利を挙げた17日の西武戦は前夜と、当日朝に夫人手作りのカレーライスを食べ好投につなげた。「今回も同じルーティンで」と前夜は球場でカレー南蛮そば、当日昼は夫人のポークカレーでエネルギーを蓄え力投した。

リーグトップタイ5勝目はお預けも、上沢らしい制球力が戻ってきた。対戦したベテラン和田はこの日2000投球回到達。「さらに倍投げるんだと思うと想像できない。僕は無理だと思います」。遠くは見過ぎない。まず目の前の打者と対峙(たいじ)し、小さな成果を、積み重ねていく。【永野高輔】

▼通算1000投球回=上沢(日本ハム) 24日のソフトバンク10回戦(エスコンフィールド)の6回、柳町を三振に仕留めて達成。プロ野球364人目。初投球回は14年4月2日のソフトバンク2回戦(ヤフオクドーム)。

日本ハム清水(ソフトバンク栗原に浴びた決勝2ランに)「本塁打はちょっと甘くなってしまった。あの1球だけだったので、もったいなかった」

日本ハム八木打撃コーチ「先発を崩さないとどうにもならない。個々の実力を上げていくしかない」