阪神島本浩也投手(30)が1392日ぶりの勝利を挙げた。今季初登板は1点ビハインドの8回。「ゼロで抑えて、次の回にいい流れを持っていけるようにと思って投げました」。ヤクルト先頭の長岡をフォークで空振り三振。中村には右前打を打たれたが、崩れなかった。代打浜田を中飛とし、最後は山崎を遊ゴロに仕留め、電光掲示板に「0」を刻んだ。

「逆転すると思って、見ていました」。9回に佐藤輝が逆転の2点二塁打を放ち、勝ち投手になった。19年8月1日中日戦(甲子園)以来の白星。指揮官は「ええボール投げとったよなあ。うーん。勝ち投手や」とたたえた。

20年11月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、昨年8月に1軍で復帰登板。今季は尊敬してやまない岩崎との自主トレに初参加した。「岩崎さんは中継ぎの左ピッチャーで一番実績もあって、すごいなと思う。自分もそういう投手になれるように」。鉄仮面の極意や、勝負時の駆け引きの話をメインに吸収した。この日は師匠の前で、有言実行の好投を披露。9回へバトンをつないだ。

試合後、島本は岩崎から記念球を渡された。その姿を見た岡田監督はベンチ前で待ち構えていた。「初めてかな思って聞いたんよ、終わってから。ほんなら前(に勝利)してましたって言うから」と初勝利で記念撮影があると思いこんでいた。思わず2人で笑みを浮かべた。

好投も光り、15年4月2日からの121試合連続無敗と球団記録も更新した。育成出身のプロ13年目。「しっかりゼロで抑えられたことがよかったかなと思います」。記念球をぎゅっと握りしめ、勝利に浸った。【三宅ひとみ】