右脇腹の肉離れで調整が遅れていた米球界からの逆輸入ルーキー、日本ハム加藤豪将内野手(28)が、待望のデビュー戦で初打席初安打を放った。「6番セカンド」で先発出場。先頭の2回、内角の速球を中前打すると、1死後、伏見、水野の連続長短打で同点のホームを踏んだ。

米国生まれ、米国育ちの背番号3が選んだ登場曲は、Mr.Childrenの名曲「Tomorrow never knows」だった。米国人のコミュニティーに溶け込むために始めた野球。野球をするのが憂鬱(ゆううつ)だった8歳のころ、練習へ向かう道中、父が車内で繰り返し流していたのが、この曲だった。「あの時、野球をやめなくて本当に良かった。やめていたら今の自分はいない。自分の中で大事な曲」。人生の応援歌だ。

試合前には新庄監督から「プロ野球の最初の記念すべき日。好きにしなさい」と背中を押された。初安打の記念球は、新庄監督がすぐさま確保。メジャーに続き“初安打球”が、一つ増えた。「今日が僕の開幕戦。開幕戦が終わったというだけで、シーズンは長い」。ケガで出遅れること約2カ月。異色のルーキーの“2度目の野球人生”が幕を開けた。【中島宙恵】

◆加藤豪将(かとう・ごうすけ)1994年(平6)10月8日生まれ、米カリフォルニア州出身。両親は日本人。幼少期を日本で過ごした後、同州サンディエゴで育つ。ランチョバーナード高から13年ドラフト2巡目(全体66位)でヤンキース入団。19年にマーリンズ、21年パドレス移籍。22年にブルージェイズとマイナー契約し、初のメジャー昇格で8試合に出場。7打数1安打(打率1割4分3厘)だった。同5月からメッツ傘下でプレー。同10月のドラフトで日本ハムから3位指名された。185センチ、91キロ。右投げ左打ち。

◆逆輸入選手 日本のプロを経験せずに渡米し、大リーグでプレーした選手がドラフト指名されたのは加藤豪で4人目。過去にはオリックスが02年2巡目で鈴木誠投手(マック鈴木)、日本ハムが04年4巡目でマイケル中村投手、07年大学・社会人1巡目で多田野数人投手を指名した。野手は加藤豪が初めて。

【動画】日本ハムの逆輸入ルーキー加藤豪将プロ初安打 初打席でセンター前へ