阪神近本光司外野手(28)が今季2度目の5連勝を導いた。3-3の延長10回2死無走者から中安打で出塁して二盗を決め、大山の押し出し四球で決勝のホームイン。同点の8回にも一時勝ち越しの3号ソロを放ってユニークな“合掌ポーズ”を決めるなど、東都の虎党を沸かせ続けた。チームは直近12勝1敗の無双状態で貯金は今季最多の14。DeNAとのゲーム差を最大の4に広げ、首位&2桁貯金での交流戦突入を決めた。

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ダイヤモンドを1周した近本が、天に向かって感謝した。ベンチ前で手を合わせ、目をつぶる。「あれは風っていうことで。自分(の力)じゃない」。

決してパワーヒッターではない男が、珍しくスタンドに視線を向けていた。2-2の8回。「その打席、狙っていたので。打球を上げることを意識して入っていた」。思い通り、右翼席最前列へ勝ち越しソロ。「まさか入るとは。うまく風に乗ってくれたかな」。だからこその“合掌ポーズ”。22試合ぶりの3号で一時勝ち越しだ。

執念の勝ち越し劇を呼び込んだのも近本だった。3-3の同点で迎えた延長10回2死走者なし。ヤクルト星から中前打で出塁した。

「いつも通り余裕を持って、三振はないと思っていた。自分のスイングをできるようにと」

すかさず二盗に成功。「当然、近本やから走るケースやで。まあ(申告)敬遠は予想してなかったけどな」と岡田監督。続く中野は指揮官も予期しない申告敬遠でつないだ。ノイジーの右前打で満塁となり、4番大山が押し出し四球。近本が勝ち越しのホームを踏み、前日の逆転サヨナラ勝ちに続く“2死走者なしからの劇的勝利”を演出した。

神宮は悔しさを味わった場所だ。昨年のCSファイナルステージ。ヤクルトに敗れ、矢野前監督のラストゲームとなった夜。「悔しいです…」と涙を流した。

同時に、左翼席から応援してくれる関東の虎党に、あらためて感謝した。今季から声出し応援が解禁され、ありがたみは一層強い。この日も本塁打を放てば、「近本コール」が響き、中堅から帽子を取った。

先制されても、ソロ3発で流れを呼び戻した打線に岡田監督は「今日は風もよかったしな。1発はあるかなあと思ってたけどな」とにんまり。2度目の5連勝で貯金は今季最多14にまで増えた。今季4度目の同一カード3連勝で、2位DeNAとは今季最大4ゲーム差。交流戦前のリーグ1位も確定した。26日からの巨人3連戦は交流戦前最後のカード。甲子園のチケットは3日間とも、完売が発表された。勢いに乗って聖地に帰る。【中野椋】

▼今季の阪神の5連勝は、5月11日ヤクルト戦~18日中日戦7連勝に次ぎ2度目。また、神宮のヤクルト戦での同一カード3連戦3連勝は、21年の開幕カード3月26~28日以来。

▼阪神が勝ち、DeNAが敗れた結果、阪神の交流戦前リーグ1位が確定した。阪神がリーグ首位で交流戦を迎えるのは08、21年に次ぎ3度目。

▼阪神のリーグ戦中断時の最多貯金は21年の16(28勝12敗2分け)。今季は現在貯金14。26日からの巨人戦3連戦で更新なるか。

▼阪神は5月に入り15勝4敗の好成績だ。今月は残り5試合。球団の月間最多は19勝で、64年8月と68年8月の2度。残り試合全勝なら更新だ。

▼阪神は今季延長戦4試合で3勝1分けで勝率10割。