日本ハム新庄剛志監督(51)が拙守で勝利をつかみ損ね、ぼうぜんとした。楽天戦は1点リードの8回に左翼・矢沢と遊撃・上川畑が飛球を“お見合い”して捕球できず(記録は安打)、この連係ミスから逆転負けを喫した。6位楽天に敗れ、交流戦前の最後のカードは黒星スタートとなった。

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新庄監督は試合後に開口一番で言った。

新庄監督 ファンのみんなに、あんなプレーを見せるのは恥ずかしい。それをさせられてない監督、コーチが一番悪いし、何か起こる前にこういうことに気を付けなさいよっていう教えがまだ足りてない。

イージーなフライは、エアポケットに入ったようにグラウンドに落下した。1点リードの8回の守備。先頭打者フランコの飛球は左翼と遊撃の中間地点へ落下しようとしていた。左翼からダッシュしてきたルーキー矢沢。8回から守備固めで遊撃に入っていた上川畑も背走して追いかけた。

お互いに自らが捕球する意思は声に出したが、お互いの耳には届かなかった。

矢沢 (上川畑)大悟さんも声をかけていたらしいんですけど、僕は聞こえなかったので、最後の最後に僕が声を出したという感じですけど、そこら辺の意思が通らなかった。(最後に声をかけた)僕が、あれは何が何でも捕るべきフライだったと思います。

上川畑 (最初は)僕が声を出していて。そんなに大きい声で言えてなかったので、矢沢本人も僕が捕ると思っていなかったのかも。最後の最後に矢沢の声がかかったので、重なったのかなと思って(交錯を避けるために)引いちゃったので、そこの連係不足です。

アウトを取ったはずの飛球はグラウンドにポトリと落ち、続く浅村に伊藤が逆転弾を被弾した。

新庄監督は「声を出した以上は外野が全部取らなきゃいけない」と前置きした上で「ああいうプレーでミスしない選手を出すのも監督の役目。ムラが少ない選手を使うことが一番大事」と自らに責任を求めた。

初回は今季初めて仕掛けた重盗も決まったが、指揮官は「負けてしまったら何も意味ないから。(重盗以降に)あと2点くらいは取っておかないと」と、たたみかけられなかった攻撃にも注文。こんな手痛い黒星は、この先に待っているはずの大きな勝利につながってこそ、意味がある。【木下大輔】

▼日本ハム森本外野守備走塁コーチ(矢沢の守備について)「本人が声を出したのであれば絶対に行かないといけない。声の連係をもう1回確認しないと」

■加藤豪、初打点初盗塁

逆輸入ルーキー加藤豪が前夜の初打席初安打初得点に続き、NPB初打点初盗塁を記録した。1回に万波の犠飛で先制した直後、なお2死一、三塁で、詰まりながらも中前適時打。「チームメートが、いい場面を作ってくれた」と食らい付いた。出塁後は、三走・野村と連係し重盗を決め3点目を演出。「準備はしていました」と、うなずいた。

■万波、打点リーグトップタイ

万波が1回1死満塁で中犠飛を放って先制点を挙げ、打点を28に伸ばしてリーグトップのソフトバンク栗原に並んだ。楽天藤平の変化球を捉えて、深めの飛球で確実な1点につなげた。「先制できて良かったです」と話した。本塁打トップはこの日9号を西武戦で放ったオリックス杉本に譲ったが、勝負強さは示している。

■伊藤、痛恨4敗

落とし穴は8回に待っていた。先発の伊藤は1点リードの8回、不運な安打で走者を一塁に置き、それまで完璧に抑えていた浅村に逆転2ランを左中間へ運ばれた。大学時代には投げていた、左打者の外に逃げていく“新球”を投入するなど、遊び心を交えながら試合を作ったが4敗目。試合後は押し黙ったまま足早にバスへ乗り込んだ。