涙のキャリアハイ到達! 阪神大竹耕太郎投手(27)が、プロ初となる巨人戦で7回6安打無失点で12球団トップの6勝目を挙げた。降板後、7回の攻撃で近本、中野の適時打で得点を挙げると、ベンチの左腕は感極まった。昨年の現役ドラフトで加入し、前回登板に引き続き、17イニング連続無失点と無双状態が止まらない。今季最多観客の甲子園で、シーズン主催100万人も突破。破竹の7連勝で、12球団最速の30勝に一番乗りした。

ベンチから見つめるグラウンドがぼやけた。7回2死一、二塁、欲しかった先制点が入り、ベンチから飛び出して喜んだ後、目から涙がこぼれ落ちた。自然と、仲間の奮闘に心を揺さぶられた。大竹は「1人はみんなのために。みんなは1人のために。そういうチームプレーを感じたので思わず出ました」。これまで経験したことのないうれし涙を、タオルで懸命にぬぐった。

文句なしの力投だった。プロ初の巨人との伝統の一戦。「相手どうこうというより、まずは自分の投球を」と貫いた。初回に得点圏に走者を進めるも大城卓を2球で追い込み最後はチェンジアップで空振り三振。3回は吉川、坂本を含む3者連続三振とつけいる隙を与えなかった。「調子が悪いながら、しっかり低めに投げられた」。これで17イニング連続無失点。規定投球回に1/3イニング届かなかったが、防御率0・40と“隠れ1位”だ。

ヒーローインタビューでは泣かされた近本、中野にもっと泣かせてと要求。「次も2人がしっかり打ってくれると思うので、また泣きたいと思います」と笑った。岡田監督も無傷の6勝目を挙げた左腕に「すごくいいピッチングやった。そらまだまだ勝つんちゃう? 6勝どころというか」と期待大。今季最多4万2620人の観客が集まり、12球団最速の100万人動員を突破した試合に花を添えた。

チームは今季最長タイの7連勝で貯金は16。5カード連続の勝ち越しで12球団最速で30勝に到達した。土曜7戦全勝。2位DeNAとの差を今季最大6ゲーム差とした。ハッピーサタデーの立役者である背番号49は「1年間投げることが先発として大事。一気に火がバッとついて消えるような投手にはなりたくない」。現役ドラフトで虎の一員になった左腕が、涙のストーリーを紡いだ。【三宅ひとみ】