プチハプニングすら味方に変える。阪神湯浅京己投手(23)がリリーフカーに乗ると、岩崎の登場曲が流れてきた。右腕が甲子園右翼後方から姿を現す。ざわつきは一瞬、音楽が止まると大歓声に変わった。9回に背番号65が帰ってきた。

「緊張したけど、うずうずもしていました」。先頭坂本に左前打を浴びたものの併殺で切り抜けた。巨人の上位打線を無失点。3点リードを守り、45日ぶりの6セーブ目だ。

右腕コンディション不良でリハビリ中は「うずうず」を抑えるのに必死だった。「早く投げたい」「1軍に行きたいなあ」。投げたいけど投げられない。頭では分かっていても、体は今にも動き出しそうだった。

「できない時ほど、『アレやっちゃダメ』って言われるほど、やりたくなるじゃないですか」

おもちゃを取り上げられた子どものような顔でつぶやいた日もあった。自宅の机には、いつもボールを置いている。「投げられない時は触りたくなるもんじゃないですか」。欲求をなんとか満たす日々とは、もうおさらばだ。

8回に登板した26日の復帰戦から2戦連続無失点。岡田監督は今後の守護神について「まだ分からん。本調子になれば後ろにやってもいいけど。そら岩崎の方が調子ええよ」と、2日連続で休養した左腕との状態を比較しての起用になると示唆した。我慢した分、23歳は投げ続けて9回に戻る。【中野椋】

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