セ・リーグ2連覇中のヤクルトが4年ぶりに10連敗を喫した。初回にエース小川泰弘投手が、広島菊池涼介内野手に先頭打者本塁打を浴びた。高津臣吾監督は先取点を与えたことにも渋い表情を浮かべたが、とりわけ「油断と隙があった」と苦言を呈したのは2失点した5回1死一、三塁の場面だった。

0-1で迎えた5回、小川は先頭の8番中村貴に右前打された。9番アンダーソンはスリーバント失敗で1死としたが、菊池に中前打を浴びた。一塁走者の中村貴は、フルカウントからスタートを切っていたため、中堅左への打球でも一、三塁となった。続く打者は2番上本。この場面で小川はクイックモーションをせずに、3球目に一塁走者の菊池がスタートを切った。「ちょっと油断と隙があった。あれだけ相手に隙を見せると、失点につながってしまうでしょうね」と高津監督。上本の打球はゴロで三塁線を抜けた。

左翼手の山崎晃大朗がライン際の打球を後ろにそらして、処理に手間取った。三塁走者は当然として、一塁走者の菊池も一気に生還し、痛恨の3失点目となった。高津監督は「あれは(山崎が)止めてても菊池はホームにかえってるので。そらしたのは(打者走者が三塁まで進んだので)ダメですけど」と見た。その上で「あそこであんなスタート切られちゃダメですよね」と、小川がクイックで投げなかったことが、一塁走者菊池のスタートを誘発したと断罪した。

先頭打者アーチは敗因の1つと、高津監督は分析した。「5分後にはゲームを追いかけている展開となっているので。立ち上がりは難しいと思いますが、先に点を取りたかった。先に点を与えたくなかったというのが正直なところ。やっぱりゲームを勝とうと思うと、先に点を取った方が有利に決まっている。プレーボールしてすぐに追いかけていく展開はちょっと避けたかった」。先制点を与えると、攻撃面で作戦の幅が限定される。10連敗中はすべての試合が3点差以内で決着しているが、追いかける展開では相手に主導権を渡してしまう。

10連敗のヤクルトは、まさかの借金11で交流戦を迎える。これ以上負けられない状況だけに、投手出身の高津監督は、中心投手の小川へ厳しい指摘をせざるを得なかった。

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